2025-10-21 コメント投稿する ▼
公約沖縄県中小企業の景況7.9に悪化、建設・製造業で人件費高騰が深刻に
沖縄県中小企業家同友会が2024年10月21日に発表した2025年7月から9月期の景況調査によれば、県内中小企業の業況判断指数は前期より1.5ポイント悪化し7.9となりました。 流通・商業では価格転嫁が進む一方で、建設業や製造業では人件費の高騰が深刻な影響を及ぼしています。
業況判断DIとは何か
業況判断指数とは、企業の景況感を数値化した指標です。調査では企業に対し業況について「良い」「さほど良くない」「悪い」の3つの選択肢から選んでもらい、「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いた数値で算出されます。
プラスであれば景況感は良好、マイナスであれば悪化していると判断できます。今回の調査では7.9とプラスを維持しているものの、前期の9.4から1.5ポイント悪化しており、県内中小企業の景況感に陰りが見えています。
今回の調査は168社を対象に実施され、回答率は16.4%でした。業種別に見ると、建設業と製造業で特に大幅な悪化が見られました。
「人件費が上がり続けて、利益が圧迫されてる。価格転嫁できないとキツい」
「建設業は人手不足なのに人件費も上がって、受注しても採算が合わない」
「流通業は何とか価格を上げられたけど、製造業は厳しいみたい」
「沖縄の中小企業、このままじゃ持たないところも出てくるんじゃないか」
「最低賃金も上がるし、人を雇うコストがどんどん増えてる」
建設・製造業が大幅に後退した理由
建設業では人件費の高騰が経営を直撃しています。2025年の建設業法改正により、技能者の処遇改善と適正な労務費の確保が義務化されました。これにより建設現場で働く技能者の賃金を適正に確保することが求められるようになり、人件費の上昇圧力が強まっています。
さらに建設資材の価格高騰も続いており、材料費と人件費の二重の負担が建設業の収益を圧迫しています。公共工事の一時的な受注減少や人手不足による営業機会の損失も重なり、業況判断指数は大幅に悪化しました。
製造業でも同様に人件費の高騰が深刻です。食料品を中心に価格転嫁により売上を確保できた企業がある一方で、印刷業ではデジタル化による受注減少、窯業・土石では生コン出荷量の減少、その他製造業では原材料高騰などの理由により、全体として業況が悪化しました。
人件費の増加は沖縄県全体の課題でもあります。2025年度の最低賃金改定では、沖縄県はCランクに分類され64円の引き上げ目安が示されています。現在の952円から1,016円程度への引き上げが想定され、フルタイム従業員1人当たり年間約12万円の人件費増となる見込みです。
流通・商業は価格転嫁が進展
一方で流通・商業分野では、価格転嫁が進んでいることが明らかになりました。小売業では百貨店・スーパー、観光土産品で物価高による買い控えの影響が限定的であり、外国人観光客の増加を受けて業況は好転しています。
情報通信業でも放送業で広告収入がコロナ禍前の水準に回復しつつあり、業況判断指数は改善しました。観光需要の回復が一部業種にプラスの影響を与えていることがわかります。
しかし卸売業では、食料品や建築材料で仕入高に対し適正価格で販売できず利益確保に苦しんでおり、資材やその他経費高騰の影響を受けて業況判断指数は大幅に縮小しました。業種によって価格転嫁の進展度合いに大きな差が生じています。
今後の見通しと課題
沖縄県中小企業家同友会の調査では、7月から9月期の先行きについて全業種で1.3ポイント改善の10.7となり、「改善傾向の維持が見込まれる」としています。しかし人件費の高騰は今後も続く見通しであり、価格転嫁が進まない業種では経営環境の厳しさが増す可能性があります。
経営上の問題点としては、4期連続で「求人難」の割合が最も高く、続いて「原材料高」「人件費の増加」の順となりました。幅広い業種で人材確保と人件費上昇が深刻な経営課題となっています。
建設業や製造業では、適正な労務費の確保と価格転嫁の両立が急務です。発注者に対して資材価格や人件費の上昇を適切に説明し、契約金額に反映させる交渉力が求められます。
沖縄県の中小企業は観光需要の回復という追い風を受けている一方で、人件費や原材料費の高騰という逆風にも直面しています。各企業が価格転嫁を進めつつ、生産性向上や業務効率化に取り組むことが、今後の持続的な成長のカギとなるでしょう。
この投稿は玉城デニーの公約「中小企業等の経営革新、創業、経営基盤強化、資金調達の円滑化等の総合支援を推進します。」に関連する活動情報です。この公約は75点の得点で、公約偏差値66.7、達成率は0%と評価されています。