2025-10-15 コメント: 1件 ▼
公約沖縄県立病院が過去最大赤字で職員削減検討、コロナ禍以降の患者減と人件費増が原因
この方針は事実上の県立病院の縮小を意味しており、2025年10月10日の県議会文教厚生委員会でも質疑がありました。 一方で、職員数は右肩上がりで増加しており、人件費が収益を圧迫する構造となっています。 2024年度の調査では、自治体病院の86パーセントが経常赤字となっており、全体を合算すると約3633億円の赤字となっています。
過去最大の赤字に職員削減を検討
沖縄県病院事業局によると、2023年度には過去最大の赤字を記録しました。県病院事業局の宮城和一郎病院事業統括官氏は2025年9月25日、原則として退職者の補充をしない方針をオンラインで6病院の職員に説明しました。同内容のメールも送り、全職員への共有を図りました。
宮城統括官氏は職員への説明で、もともとの赤字構造がコロナ禍による入院患者の急減で深刻化したと指摘し、「人を増やすほど、或いは現状維持でさえ、赤字が拡大している」と述べています。県病院事業局は県立6病院と16の離島診療所を運営しており、地域の中核病院として急性期医療やへき地医療を担っています。
「病院の経営が苦しいのはわかるけど職員削減は不安」
「患者さんへのサービスが低下しないか心配です」
「コロナで疲弊した医療現場をさらに追い込むのか」
「沖縄の医療体制が崩壊しないか本当に心配」
「経営改善は必要だけど現場の声も聞いてほしい」
収益減らしても人件費圧縮の方針
宮城統括官氏は8項目の改善策を提示しており、その中には「地域の他病院と重なる診療を見直すこと」「手放さざるを得ない施設基準を見定めること」などが含まれています。さらに、県からの繰入金の対象にならない診療について「存続の必要性を検討すること」との項目もあります。
宮城統括官氏は「収益が1億円減ったとしても、同時に人件費が1億1千万円減るのであれば赤字は改善に向かう」として、事業縮小の姿勢を鮮明にしています。この方針は事実上の県立病院の縮小を意味しており、2025年10月10日の県議会文教厚生委員会でも質疑がありました。
コロナ禍以降の患者数減少と職員増加
県立病院の経営悪化の背景には、コロナ禍以降の構造的な変化があります。新型コロナウイルス感染症の流行により、入院患者数が大幅に減少しました。一方で、職員数は右肩上がりで増加しており、人件費が収益を圧迫する構造となっています。
全国的にも自治体病院の経営は深刻な状況にあります。2024年度の調査では、自治体病院の86パーセントが経常赤字となっており、全体を合算すると約3633億円の赤字となっています。赤字幅は前年度から9割増えており、経常費用が4.2パーセント増える一方、収益の伸びは0.9パーセントにとどまっています。
人件費の増加については、人事院勧告に伴う賃上げが診療報酬でカバーできないことが大きな要因とされています。地方公務員の賃金は国の人事院勧告の影響が大きく、医療機関の収益構造では吸収しきれない状況となっています。
現場からの強い反発
職員向け説明会では、宮城統括官氏の方針に対して強い反発があったとされています。医療現場では、コロナ禍で疲弊した状況が続いており、さらなる人員削減によって医療サービスの質が低下することへの懸念が広がっています。
県議会文教厚生委員会でもこの問題が取り上げられ、県立病院の今後の運営方針について議論されました。地域医療を担う県立病院の役割を考えれば、単なる経営効率化だけでなく、医療サービスの維持や地域住民への影響も慎重に検討する必要があります。
全国の病院経営も危機的状況
沖縄県立病院だけでなく、全国の病院経営は危機的状況にあります。2024年度の診療報酬改定後の調査では、医業赤字病院は69パーセント、経常赤字病院は61.2パーセントに増加しています。物価や賃金の上昇に診療報酬改定が十分に対応できていないという批判が多く出ています。
病床利用率の低下も深刻な問題です。コロナ禍以降の受診控えや入院短縮化により、病床利用率が以前の水準に戻らない病院が多くなっています。2024年調査では黒字病院の利用率85.5パーセントに対し、赤字病院は77.5パーセントで、8ポイントもの差が収益に直結しています。
沖縄県病院事業局は今後、職員への丁寧な説明を行いながら、地域医療の維持と経営改善の両立を図る難しい舵取りを迫られることになります。県民の医療を守りながら持続可能な病院経営を実現できるか、その手腕が問われています。
この投稿は玉城デニーの公約「県立病院の経営形態を維持し機能強化を図るため離島医療、救命救急医療、急性期医療、高度・特殊医療等の施策に取り組みます。」に関連する活動情報です。この公約は点の得点で、公約偏差値、達成率は0%と評価されています。