2025-12-11 コメント投稿する ▼
鶴居村がメガソーラー阻止へ土地購入決定、タンチョウ保護で全会一致可決
北海道鶴居村の村議会で12月11日、釧路湿原国立公園に隣接する民有地の購入費を含む補正予算が全会一致で可決されました。この決定は、メガソーラー建設を阻止し、国の特別天然記念物タンチョウの生息地を保護する歴史的な取り組みです。
全会一致で可決された土地購入計画
鶴居村が購入を決定した民有地は約7.5ヘクタールで、購入費の予算は150万円です。全国からの寄付も活用して計300万円で取得する予定で、村は現在も土地所有者と交渉を続けています。
この民有地では過去に大阪市の企業「日本エコロジー」による大規模太陽光発電所の建設計画が浮上していました。同社は2025年1月に建設計画を村に通知しましたが、住民説明会の開催が必要との村の要請を受け、2月下旬に計画を見送ったという経緯があります。
「タンチョウの写真を撮るスポットなのに、メガソーラーができたら台無し」
「村の象徴であるタンチョウを守るのは当然のこと」
「観光にも影響が出る前に手を打てて良かった」
「税金を使ってでも自然を守る姿勢は評価できる」
「150万円で貴重な景観を守れるなら安いもの」
タンチョウの撮影スポットとしての重要性
この民有地は、村の有名な撮影スポットである橋からタンチョウを撮影する際の背景として写り込む位置にあります。大石正行村長は議会閉会後、報道陣に対し「村を象徴するタンチョウを保全するためにも重要なエリアです。あの場所を守り、観光振興にもつなげたい」と語りました。
鶴居村は国の特別天然記念物タンチョウの生息地として全国的に知られており、冬季には多くの観光客がタンチョウ観察に訪れます。現在、釧路・根室地方には約1800羽のタンチョウが生息しており、その多くが鶴居村周辺で越冬します。タンチョウ観光は村の重要な収入源となっており、年間を通じて国内外から多くの観光客が訪れています。
全国的なメガソーラー問題への対応
釧路湿原周辺では近年、大規模太陽光発電施設の建設が相次いでおり、自然環境への影響が深刻な問題となっています。釧路市内の太陽光発電施設数は2012年の25カ所から2024年には561カ所に急増し、事業者からの建設相談件数もこの4年間で19倍に増加しています。
環境省や文化庁も釧路湿原周辺のメガソーラー建設に懸念を示しており、特別天然記念物への影響を理由に事業者への指導を強化しています。釧路市も2025年9月をめどに太陽光発電施設の設置を許可制とする条例案の提出を予定しており、自治体レベルでの規制強化が進んでいます。
地域経済と環境保護の両立
鶴居村の今回の決定は、短期的な経済利益よりも長期的な環境保護と持続可能な観光を選択した事例として注目されています。メガソーラー建設による一時的な税収よりも、タンチョウ観光による継続的な収入を重視した判断といえるでしょう。
村は今後、購入した土地を適切に管理し、タンチョウの生息環境を維持していく方針です。この取り組みは他の自治体にとっても、環境保護と地域振興を両立させる先進的なモデルケースとなる可能性があります。