2025-12-03 コメント投稿する ▼
大阪・守口市長と教育長のパワハラ問題、有識者審査委が「対象外」「該当なし」答申
有識者で構成される同委員会は、市長については「審査対象とすることは適当でない」、教育長については「ハラスメント行為に該当するとは認められない」と結論付けました。 また教育長については、申し出た職員に職務上の指揮監督権限を有していない点を挙げ、「合理的対応の範囲内」などとしています。 教育長についても、直接の指揮監督関係がない職員への対応については、パワハラの認定が困難だという判断が示されています。
守口市パワハラ問題 有識者審査委が判断分かれる 市長は「審査対象外」、教育長は「該当なし」
大阪府守口市の瀬野憲一市長と田中実教育長のパワーハラスメント疑惑を調査していた市公正職務等審査委員会が2025年11月20日付で市に答申しました。有識者で構成される同委員会は、市長については「審査対象とすることは適当でない」、教育長については「ハラスメント行為に該当するとは認められない」と結論付けました。この問題は補助金をめぐる不正疑惑から発展したものですが、職員の内部告発に対する報復人事への批判が高まっています。
補助金問題発端の人事が火種に
問題の発端は昨年度以降、市スポーツ協会への補助金を市議会が問題視していたことにあります。市議会で紛糾する中、市教委は今春、調査対象となるはずの協会元副理事長を、市教委事務方トップの教育監兼教育部長に充てる人事を発令しました。
「なぜ問題になってる人を昇進させるんだ?」
「市議会無視の人事はおかしい」
「税金の使い方をチェックできなくなる」
「市長と教育長のやりたい放題だ」
「職員が声を上げたのに報復するなんて」
この人事に対して5月には部長級職員8人が連名で教育監交代を求める具申書を田中教育長に提出する事態となりました。しかし、その後、年度途中で人事異動となる提出メンバーが出るなどしたため、複数の職員が報復人事として市に申し出たのです。
百条委員会では職員が証言
大阪府守口市議会の調査特別委員会(百条委員会)では、パワハラ被害を主張する部長級の男性職員3人に対する証人尋問が行われました。3人中2人は今年度の途中で別部署へ異動となり、ともに「報復人事」との認識を示しています。
異動となったうちの1人は「なぜこのタイミングで市教委の体制を改める人事異動で私を異動させるのか」と疑問を呈しました。一方、瀬野市長は部長らの意見具申について「行き過ぎた行動」などと指摘し、職員側と真っ向から対立する姿勢を見せています。
また田中教育長からパワハラを受けたと主張する別の職員は「(周囲からの)人間関係の切り離しが続いた」などと証言し、組織的な排除が行われていた実態を明らかにしました。
審査委員会は権限の限界を指摘
今回の答申について、市長に関しては人事異動は市長の専権事項であるとし、パワハラか否かの判断は「所掌(管轄)を超える」としました。また教育長については、申し出た職員に職務上の指揮監督権限を有していない点を挙げ、「合理的対応の範囲内」などとしています。
この結果は、審査委員会の制度的な限界を示すものとも受け取れます。人事権という市長の専権事項については、外部委員会では踏み込んだ判断ができないという現実が浮き彫りになりました。教育長についても、直接の指揮監督関係がない職員への対応については、パワハラの認定が困難だという判断が示されています。
市は12月2日付で答申を受け取り、今後の対応を検討することになります。しかし、複数人が「不利益な取り扱い」「教育長の言動に強い精神的負担を感じた」といった主張で市に申し出た問題の根本的な解決には至っていません。
職員の内部告発に対する報復人事という構造的な問題が指摘される中、市政の透明性と職員の権利保護をどう両立させるかが今後の課題となります。市議会による百条委員会の調査は継続される見込みで、政治的な解決が求められる状況が続いています。