経済安保推進法改正案・海底ケーブルや燃料補給拠点の海外展開を支援へ

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経済安保推進法改正案・海底ケーブルや燃料補給拠点の海外展開を支援へ

政府が今国会に提出する経済安全保障推進法改正案の全容が2026年3月13日に判明しました。国際輸送網を構築する船舶の燃料補給拠点や衛星通信システム設備などを念頭に、経済安全保障上重要な民間事業の海外展開を支援するのが新たな柱となります。戦略物資の輸出規制や開発競争が国際的に激化する中、サプライチェーンの強化を急ぐ狙いです。

経済安保推進法の初の本格改正


政府は来週にも改正案を閣議決定します。経済安全保障推進法が2022年に成立してから初めての本格改正となります。高市早苗内閣総理大臣が掲げる危機管理投資の具体化に向けた一環として位置づけられています。

経済安全保障推進法は、日本の安全保障を経済面から強化するため、重要物資の安定供給確保、基幹インフラの安全性・信頼性確保、先端技術の官民協力による開発支援、特許出願の非公開化の4つの柱で構成されています。今回の改正では、新たに民間事業の海外展開支援という5つ目の柱が加わることになります。

民間事業の展開先は、同志国や新興国を中心とするグローバルサウスを想定しています。政府系金融機関の国際協力銀行から通常の融資より優先順位が低い劣後出資を受けることができる仕組みをつくります。経済安全保障上は重要な事業でも、企業が採算を懸念し海外進出していなかった分野を後押しする狙いです。

「経済安保も大事だけど、民間企業に採算の合わない事業を押し付けるのか」
「中国の一帯一路に対抗するには、政府の支援が必要だ」

劣後出資とは、企業が破綻した場合に返済順位が通常の融資より後回しになる代わりに、成功時には高いリターンが期待できる投資手法です。リスクの高い事業でも政府系金融機関が資金を出すことで、民間企業が参入しやすくなる効果が期待されます。

海底ケーブルや衛星通信を重点支援


国際通信の大半を占める海底ケーブルや人工衛星は経済活動や安全保障に欠かせないインフラです。敷設や打ち上げといった役務と呼ばれる企業活動を財政支援の対象とします。

海底ケーブルは世界のインターネット通信の99パーセント以上を担う重要なインフラですが、近年は中国企業が敷設事業で存在感を増しています。特にアジア太平洋地域やアフリカでは、中国の通信機器大手が低価格で受注を獲得するケースが増えており、日本企業は競争力の低下に直面しています。

人工衛星による通信システムも、安全保障上の重要性が高まっています。特に地球低軌道に多数の小型衛星を配置する衛星コンステレーションは、災害時や有事の際にも通信を維持できる強みがあります。米国のスペースXが展開するスターリンクが先行していますが、日本企業も独自の衛星通信網の構築を目指しています。

「海底ケーブルが中国に握られたら、通信の安全保障が脅かされる」

今回の改正案では、こうした海底ケーブルの敷設や人工衛星の打ち上げといったサービス提供事業を支援対象に明記します。これまでの経済安保推進法では、主に物資やシステムの確保に焦点が当てられていましたが、今回の改正でサービス分野にも支援が拡大されることになります。

船舶燃料補給拠点の整備も対象


国際輸送網を構築する船舶の燃料補給拠点の整備も支援対象となります。これはシーレーンの安全保障を強化する狙いがあります。

日本は貿易の99.6パーセントを海上輸送に依存しており、中東から日本に至るシーレーンの安全確保は死活的に重要です。特に2026年2月末から続くイラン情勢の緊迫化により、ホルムズ海峡が事実上封鎖される事態が発生しており、代替ルートの確保や補給拠点の多様化が急務となっています。

船舶の燃料補給拠点は、従来は民間企業が採算性を重視して主要航路沿いに設置してきました。しかし、経済安全保障の観点からは、有事の際にも利用できる拠点を戦略的に配置する必要があります。政府支援により、通常は採算が取りにくい地域にも補給拠点を整備できるようになります。

「有事の際に燃料が補給できなければ、日本への輸送が止まってしまう」

グローバルサウスへの展開を重視


改正案では、民間事業の展開先として同志国や新興国を中心とするグローバルサウスを想定しています。これは中国の一帯一路政策に対抗する意味合いもあります。

グローバルサウスとは、主にアジア、アフリカ、中南米などの新興国や途上国を指す言葉です。これらの国々は経済成長が著しく、インフラ整備の需要も高い一方、中国が積極的に投資を行っており、影響力を拡大しています。

日本政府は、質の高いインフラ投資を掲げ、透明性や持続可能性を重視した支援を行うことで、グローバルサウスとの関係強化を目指しています。今回の改正案は、こうした政策の一環として、民間企業の海外展開を後押しするものです。

国際協力銀行からの劣後出資という仕組みにより、リスクが高くても戦略的に重要な事業に民間企業が参入しやすくなります。特に通信インフラや輸送網の整備は、現地の経済発展に貢献するとともに、日本の経済安全保障にも寄与します。

経済界からは期待と懸念


経済界からは、政府支援により海外展開のハードルが下がることを歓迎する声が出ています。ある海運大手の幹部は、経済安保の観点から必要な事業でも採算性の問題で二の足を踏んでいた案件に取り組みやすくなると述べました。

一方で、政府の関与が強まることへの懸念も指摘されています。民間企業の自主性が損なわれたり、政治的な判断で事業が左右されたりするリスクがあるためです。また、劣後出資は返済順位が低い分、企業にとってはリスクが高い資金調達手段でもあります。

専門家からは、支援対象となる事業の選定基準や透明性の確保が重要だとの指摘があります。経済安全保障上の重要性という曖昧な基準だけでは、恣意的な運用につながる恐れがあるためです。客観的な評価基準と情報公開が求められます。

政府は来週にも閣議決定し、今国会での成立を目指す方針です。成立すれば、日本の経済安全保障政策は新たな段階に入ることになります。イラン情勢の長期化や米中対立の激化など、国際環境が厳しさを増す中、サプライチェーンの強靱化は待ったなしの課題となっています。

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2026-03-13 18:03:05(植村)

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