2026-02-26 コメント投稿する ▼
脱中国依存に揺れる関西経済:地政学リスクと「深すぎる結びつき」のジレンマ
長年、中国との深い経済的ネットワークを築いてきた関西経済にとって、存亡の機とも言える重大な局面を迎えていることを示唆しています。 今回の事態の引き金となったのは、2026年2月24日に中国政府が発表した輸出規制リストです。 つまり、関西企業の約3社に1社が、売上の減少という直接的なダメージを覚悟していることになります。 しかし、関西企業の対応は遅れているのが現状です。
このニュースは、単なる一過性の外交問題ではありません。長年、中国との深い経済的ネットワークを築いてきた関西経済にとって、存亡の機とも言える重大な局面を迎えていることを示唆しています。
データジャーナリストの視点からこの問題を分析すると、関西企業が抱える「脱中国」への足取りの重さと、その背後にある構造的な課題が浮き彫りになってきました。
緊迫する日中関係と関西企業への直接的な打撃
今回の事態の引き金となったのは、2026年2月24日に中国政府が発表した輸出規制リストです。このリストには、関西を拠点とする精密化学メーカーの日東電工などが含まれており、実務的な影響が懸念されています。
関西経済同友会の三笠裕司代表幹事は、会見で強い危機感を表明しました。中国側が訪日客の制限や輸出規制など、経済を「カード」として次々と切ってくる現状に対し、「個々の企業で対応できるレベルを超えている」と指摘しています。
これは、民間企業がどれだけ努力しても、国家間の政治的な対立によってビジネスの根幹が揺るがされてしまうという、現代の地政学リスクを象徴する出来事です。
データで見る関西の「中国依存度」の高さ
なぜ、関西企業はこれほどまでに中国情勢に敏感なのでしょうか。その理由は、全国平均を大きく上回る「中国への依存度」にあります。
2024年の統計データを見ると、関西から中国(香港を除く)への輸出額は、全輸出額の約24%を占めています。これは全国平均の約18%と比較しても明らかに高く、関西経済がいかに中国市場に支えられているかが分かります。
輸入面でも同様です。関西の輸入の約3割が中国に依存しており、部品や原材料の調達先として中国は欠かせない存在となっています。この「深すぎる結びつき」が、リスクが顕在化した今、逆に足かせとなって脱却を難しくしているのです。
3割の企業が直面する「受注減少」の恐怖
東京商工リサーチ関西支社が2026年初頭に実施した調査結果は、現場の悲鳴を如実に物語っています。近畿2府4県の企業に対し、日中関係悪化の影響を尋ねたところ、深刻な回答が寄せられました。
「すでに受注が減少している」あるいは「今後受注が減りそうだ」と回答した企業は、合わせて31.2%に達しました。つまり、関西企業の約3社に1社が、売上の減少という直接的なダメージを覚悟していることになります。
特に中小企業にとっては、主要な取引先である中国企業からの発注が止まることは、経営の根幹を揺るがす死活問題です。代替市場を見つけることが難しい中で、多くの企業が苦境に立たされています。
進まないサプライチェーンの再構築と構造的課題
リスクを回避するためには、中国に依存しない供給網(サプライチェーン)を構築する「チャイナ・プラス・ワン」の動きが不可欠です。しかし、関西企業の対応は遅れているのが現状です。
調査によれば、「調達面での中国依存の低減」に取り組んでいる企業は37.0%にとどまりました。前回の調査(35.5%)からわずか1.5ポイントの微増であり、危機感はあっても実際の行動に移せていない実態が浮き彫りになっています。
生産拠点の移設には莫大なコストと時間がかかります。また、長年築いてきた現地のネットワークや熟練した労働力を手放すことは、短期的には生産性の低下を招く恐れもあります。この「コストとリスクの天秤」が、企業の決断を鈍らせているのです。
「個社では限界」財界トップが訴える政府への期待
パナソニックホールディングス元副社長の宮部義幸氏は、講演で「中国に軸足を置いた生産体制は見直しが必要だ」と断言しました。しかし、同時に三笠氏が指摘するように、これは企業努力だけで解決できる問題ではありません。
今後は、政府による強力な支援策が求められます。例えば、生産拠点を国内や東南アジアへ回帰させるための補助金制度の拡充や、新たな輸出先の開拓支援などが急務です。
関西経済がこの荒波を乗り越えるためには、これまでの「中国頼み」のモデルを脱却し、より多角化された強靭な経済構造へと進化する必要があります。2026年は、関西企業にとってその覚悟が問われる、歴史的な転換点となるでしょう。