2025-12-06 コメント投稿する ▼
政府が検討するEV重量課税案、2026年度税制改正で脱炭素政策と財政の両立図る
政府は2025年12月5日の自民党税制調査会(自民党税調)で、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)に対し、車両の重量に応じて税負担を増やす新たな課税制度案を提示しました。 現在の自動車税種別割では、EVとFCVは排気量がないため、最低税率区分の年額2万5000円が適用されています。
EV重量課税案で脱炭素政策に影
政府が新税制検討、与党内で慎重論噴出
政府は2025年12月5日の自民党税制調査会(自民党税調)で、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)に対し、車両の重量に応じて税負担を増やす新たな課税制度案を提示しました。現在は一律年額2万5000円の低税額が適用されているEV・FCVですが、重い車体による道路への負荷を理由に「受益者負担の原則」に基づく課税強化を検討するものです。しかし与党内では、この案が脱炭素政策に逆行しかねないとの慎重論が相次いでいます。
現行制度から大幅転換の背景
現在の自動車税種別割では、EVとFCVは排気量がないため、最低税率区分の年額2万5000円が適用されています。これに対し、ガソリン車は排気量に応じて年額2万5000円から11万円まで段階的に課税される仕組みです。
総務省の「自動車関係税制のあり方に関する検討会」が2025年10月6日に示した案では、EVやFCVの車両重量を新たな課税基準とすることを提案しています。背景には、高級EVの増加で重量2トンを超える車両が普及する一方、道路への負荷に見合った税負担をしていないという指摘があります。
「道路の維持管理費用が増大しているのに、重いEVが安い税金なのは不公平だ」
「高級EVに乗る人が税制優遇を受けるのはおかしい」
「車重2トン超のEVが軽自動車より安い税金って理解できない」
「脱炭素は大事だが、インフラ負担の公平性も必要だ」
「道路の傷み具合は車の重さに比例するから、重量課税は当然だ」
与党内で割れる意見
自民党税調での議論では、EV課税強化に対する慎重論が目立ちました。特に脱炭素政策との整合性について疑問視する声が多く聞かれています。政府が2050年カーボンニュートラル実現を掲げる中で、EVの普及促進策と逆行する可能性が指摘されています。
一方、経済産業省は自動車関連税制の抜本的見直しを求める姿勢を崩しておらず、現行の自動車税と自動車重量税の一本化による簡素化を提案しています。日本自動車工業会(自工会)も経産省と同じ立場で、保有時の税制統合を求めています。
財政と環境政策の板挟み
車体課税に関する税収は、2025年度で約1兆9923億円が見込まれており、ピーク時の1996年度と比較して約4200億円減少している状況です。地方自治体にとって重要な財源である一方、環境性能の高い車両への優遇措置は脱炭素政策の柱となっています。
総務省案では、車両重量を課税基準とすることで税負担の公平性を図る考えですが、結果的に環境負荷の少ないEVの税負担が増加することになります。これについて与党内では「カーボンニュートラル目標と整合しない」との批判も出ています。
今後の焦点は税制改正大綱
政府・与党は2025年12月末の2026年度税制改正大綱取りまとめに向けて協議を本格化させます。EV課税案については、11月にまとめられる総務省検討会の報告書を踏まえ、与党税制改正大綱への反映が検討される見通しです。
ただし、与党内の慎重論や自動車業界の反発を受け、最終的な制度設計では環境配慮措置が組み込まれる可能性も高く、単純な重量課税ではない複合的な仕組みになることも予想されます。脱炭素政策と税負担の公平性をどう両立させるかが、今後の最大の焦点となります。