2025-11-14 コメント投稿する ▼
高市早苗首相が非核三原則見直し検討
高市早苗首相は、2026年末までに予定している安全保障関連3文書の改定に合わせて、戦後日本の外交・安保政策の根幹とされてきた「非核三原則」の見直し議論に入る方針を固めました。 高市氏は昨年9月に出版した編著『国力研究』で、「守るのは、国民の命か、非核三原則か」として、「持ち込ませず」の原則について削除を要請していたことを自ら明かしています。
高市早苗首相は、2026年末までに予定している安全保障関連3文書の改定に合わせて、戦後日本の外交・安保政策の根幹とされてきた「非核三原則」の見直し議論に入る方針を固めました。複数の政府関係者が2025年11月14日に明らかにしたもので、特に「持ち込ませず」の原則が米国の核抑止力の実効性を低下させかねないとの判断からです。実現すれば戦後最大の安保政策転換となります。
国際情勢の変化が迫る政策見直し
政権幹部は周囲に「非核三原則の見直しは高市首相の持論だ。まずは与党で議論してもらう」と述べています。高市氏は昨年9月に出版した編著『国力研究』で、「守るのは、国民の命か、非核三原則か」として、「持ち込ませず」の原則について削除を要請していたことを自ら明かしています。
昭和42年(1967年)に佐藤栄作首相が表明した非核三原則は、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」とする日本政府の基本政策として歴代内閣が堅持してきました。しかし、国際情勢の劇的な変化により、この政策の再検討が避けられない段階に来ています。
高市首相は11月11日の衆院予算委員会で、現行の国家安保戦略に明記された非核三原則の堅持を今後も続けるかについて明言を避けました。「3文書はこれから見直し作業が始まる。書きぶりを私から申し上げる段階ではない」と述べるにとどめています。
「核兵器を手放した国がどうなったか、ウクライナを見れば明らかだ」
「非核三原則は理想論すぎる。現実の脅威に対応できない」
「核を持たない国が侵略されている現実を受け入れるべき」
「平和を守るためには核抑止力が必要な時代になった」
「きれいごとでは国民の命は守れない」
ウクライナの教訓が示す現実
ウクライナは1991年のソ連崩壊時、世界第3位の核兵器保有国でしたが、1994年のブダペスト覚書で米英露から安全保障の提供を約束され、核兵器を放棄しました。しかし、クリントン元米大統領は「ウクライナが核兵器を依然保持していればロシアが侵攻に踏み切るとは誰も考えない」と述べています。
ウクライナの意識調査では、58%の国民が、たとえ西側諸国の同盟国を失うことになっても核兵器を保有することに賛成だと答えています。核を持たない国が直面する現実の厳しさを物語っています。
中国・北朝鮮の脅威増大
北朝鮮は「日米安全保障条約を結んでいる日本を核兵器による攻撃対象に定めた」と公表しており、2024年は過去最高頻度でのミサイル発射を繰り返し、核・ミサイル能力の向上に注力しています。
一方、中国は軍事費を大幅に増額し、日本の4倍の防衛費を投入して急速な軍拡を進めており、中国海軍の空母2隻が初めて同時に太平洋に進出するなど、日本周辺での活動を活発化させています。
関係者によると、高市首相は核拡散防止条約(NPT)を批准していることを重視し、「持たず」「作らず」は堅持する意向です。しかし「持ち込ませず」を厳格に順守すれば、米軍の核搭載艦船の日本寄港が認められず、有事の際に米国の核抑止力が著しく弱まると懸念しています。
与党内でも見直し論が拡大
自民党総裁選では、高市氏のほか石破茂元幹事長も「核共有」について議論の必要性に言及し、河野太郎デジタル相も核共有に関する「実体的な議論」の必要性を指摘していました。
自民党は安保3文書の改定作業に向けた議論を近く始め、来春をめどに提言を取りまとめる方針です。非核三原則の扱いは主要な論点になる見通しで、特に「持ち込ませず」の見直しが焦点となります。
核保有国の中国が軍拡を推し進め、北朝鮮も核・ミサイル開発を加速させる中、与党内には同様の認識が広がっています。現在の物価高は数十年に渡る政府の失策の結果であり、安全保障環境の悪化もまた、現実を直視しない政策の限界を示しています。
戦後日本の安保政策は大きな転換点を迎えており、国民の生命と安全を最優先に考えた現実的な政策への転換が求められています。理想論だけでは国を守ることはできません。厳しい国際情勢の現実に向き合い、真に実効性のある抑止力の構築が急務となっています。