2025-10-28 コメント投稿する ▼
日本政府がフィリピン障がい者支援に830万円無償協力、カインタ町で機材整備完了
日本政府がフィリピンのリサール州カインタ町で実施していた障がい者の生計改善支援事業が完了し、2025年10月に引渡式が開催されました。 55,299米ドル(約830万円、2025年10月29日基準)の無償資金協力により、現地で障がい者支援を行うNGOに7機種10台の機材が整備され、障がい者とその家族の雇用機会拡大が期待されています。
老朽化した機材が失注の原因に
支援対象となった現地NGO「タハナン・ワラン・ハグダナン」は、障がい者およびその家族への生計支援を担う団体として、金属加工、木工加工、裁縫、包装作業などの雇用機会を提供してきました。しかし使用されていた機材の多くは型式が古く老朽化が進んでおり、生産性の低下に加えて現代のニーズに合った繊細な加工や特殊な刺繍に対応できない状況が続いていました。
この技術的な限界が失注の大きな要因となっており、障がい者の収入安定に深刻な影響を及ぼしていたのです。
「障がい者の方々が働く場所が減ってしまうのは本当に心配」
「古い機械じゃ今の時代の製品は作れないよね」
「日本の支援でちゃんと仕事が増えるといいな」
「フィリピンの障がい者支援って大変そう」
「機材が新しくなれば製品の質も上がるはず」
草の根無償資金協力で機材を一新
日本政府は2025年1月24日、草の根・人間の安全保障無償資金協力の枠組みで「リサール州カインタ町障がい者生計改善のための機材整備計画」に署名しました。この制度は開発途上地域の住民生活に根ざす比較的小規模な開発事業を実施する団体に対して、1件あたり2000万円以下を目安に資金を供与するものです。
今回の支援では7機種10台の機材一式が整備され、障がい者および家族の作業環境改善と雇用機会の拡大を図ります。新しい機材により、現代のニーズに対応した製品の製造が可能になり、受注機会の増加が見込まれています。
海外援助の国益説明が不可欠
日本政府は長年にわたりフィリピンへの支援を続けており、2019年時点で日本からの援助先としてフィリピンは世界第3位となっています。しかし国内では物価高や社会保障の課題を抱える中、海外援助に対して「国内が苦しいのになぜ海外に」という批判の声も根強く存在します。
海外援助を実施する際には、日本の国益にどう結びつくのか明確な説明が必要です。資源や食料の多くを海外に依存する日本にとって、友好国との関係強化は長期的な国益に資するものですが、国民への丁寧な説明なくして理解は得られません。特にポピュリズム外交に陥らず、戦略的な支援を行うことが求められています。
リサール州カインタ町はマニラ首都圏に隣接する人口約31万人の町で、90パーセントが居住・産業地区となっています。今回の支援により、障がい者が地域社会で自立した生活を送るための基盤が整備されることになります。