2026-03-20 コメント投稿する ▼
水迫畜産の黒毛和牛偽装で鹿児島6市・返礼品8000万円超に波及 ふるさと納税の信頼が揺らぐ
鹿児島県指宿市山川の水迫畜産(水迫政治社長)が、ホルスタイン種や交雑種などの牛肉を「黒毛和牛」と偽り、沖縄県産や宮崎県産を含む他県産牛肉を「鹿児島県産」と偽装して販売していたことが2026年3月10日、明らかになりました。 農水省の調査によると、不正は少なくとも2023年1月から同年10月まで継続して行われていました。
農水省が行政指導、不正表示は少なくとも2023年から継続
鹿児島県指宿市山川の水迫畜産(水迫政治社長)が、ホルスタイン種や交雑種などの牛肉を「黒毛和牛」と偽り、沖縄県産や宮崎県産を含む他県産牛肉を「鹿児島県産」と偽装して販売していたことが2026年3月10日、明らかになりました。農林水産省は同日、食品表示法と牛トレーサビリティー法に基づき、水迫畜産に対して表示の是正と再発防止策の実施を指示・勧告する行政指導を行いました。不正な表示が行われた牛肉は合わせて約27トンに及びます。
農水省の調査によると、不正は少なくとも2023年1月から同年10月まで継続して行われていました。水迫畜産はステーキや切り落としなどの原料牛肉に肉専用種・交雑種・ホルスタイン種を使いながら「黒毛和牛」と表示したほか、異なる個体識別番号の原料を複数使っているのに一つの識別番号のみを表示する不正も行っていました。農水省の立ち入り検査に対し、水迫畜産は「2021年4月以降、加工の工程などで原料牛肉と加工後の商品の牛種や原産地、個体識別番号を一度も確認することがなかった」と説明し、「法令順守の意識が希薄だった」と認めています。
6市のふるさと納税に波及、南九州市では2億円超の可能性も
不正が波及した自治体は少なくとも6市に上ります。現時点で明らかになっているのは、指宿市が返礼品3600件・寄付額4600万円、鹿児島市が2100件・2500万円、姶良市が833件・1187万円で、合わせると6533件・8287万円にのぼります。さらに南九州市では最大2万件・寄付額2億円超の可能性があるとして現在も精査が続いています。枕崎市と鹿屋市も返礼品として同社の牛肉製品を使用していたことが判明しており、詳細の調査が進められています。被害総額はさらに膨らむ見通しです。
2026年3月11日には鹿児島市・指宿市・南九州市・姶良市の4市職員計10人が、鹿児島市内にある水迫畜産の加工施設へ立ち入り調査を実施しました。各市は今後、不正表示のあった牛肉を含む返礼品と寄付者を特定し、代替品の送付か寄付金の返金かを含む対応を検討します。
「ふるさと納税で応援したのに偽装品が届いていたとは。信頼を完全に裏切られた気分だ」
「鹿児島和牛のブランドは長年かけて築いてきたものなのに、こんな形で傷つけられるのは悔しい」
「返礼品競争が激しい中で業者の自主管理に任せすぎていた。自治体の確認体制も問題だった」
「2021年から確認を一度もしていなかったというのが衝撃。組織的な問題と言わざるを得ない」
「代替品を送ると言っても偽装した業者からの品物を受け取りたくない。返金してほしい」
「食の信頼を根本から揺るがす重大事態」、再発防止への対応が急務
指宿市の打越明司市長は2026年3月13日の市議会本会議で「市のふるさと納税返礼品や鹿児島県の食の信頼を根本から揺るがす重大な事態だ」と強調しました。帝国データバンクによると、水迫畜産は業種別売上高が県内2位の大手であることから、鹿児島の畜産業全体への信頼失墜を懸念する声が同業者から相次いでいます。
ふるさと納税はいまや年間1兆2000億円規模まで成長した制度です。地域の魅力ある特産品が全国の寄付者に届くことで地域経済が潤う仕組みですが、今回のような返礼品の偽装は制度の根幹を揺るがします。各自治体が返礼品業者の品質・表示を十分に確認せず、業者任せの運営を続けることの危うさが改めて浮き彫りになりました。
企業・団体の不正に対しては毅然と対応することが行政に求められており、各自治体が返礼品業者の管理体制をより厳格に監視する仕組みの構築が急務です。寄付者への誠実な対応と、再発防止に向けた全ての返礼品取扱業者への対策強化が、関係する自治体と鹿児島県全体に強く求められています。