2025-06-25 コメント投稿する ▼
村上慎二郎市議に17万円賠償命令 トランスジェンダー議員への「おっさん」発言に司法判断
「おっさんやないか」発言で賠償命令 村上慎二郎市議に17万円支払い判決 名古屋地裁が“トランス差別”に一定の線引き
愛知県春日井市議会の村上慎二郎市議(54)が、同僚のトランスジェンダー議員・小嶋小百合氏(71)に対し「おっさんやないか」などと発言し精神的苦痛を与えたとして提訴されていた問題で、名古屋地方裁判所(大竹敬人裁判長)は6月25日、村上市議に17万円の損害賠償を命じる判決を下した。
【議長の立場で「おっさんやないか」連呼 冗談が通じない「一線」
問題の発言があったのは、2024年1月19日に行われた懇親会の席。市議15人が参加していた場で、当時議長を務めていた村上市議は、小嶋市議に向かって「おっさんやないか」「みんなもそう思っている」などと大声で繰り返し発言。小嶋氏の性自認を揶揄する内容だった。
小嶋氏は会派を離脱し、動悸や不眠といった症状を訴え、医師から自律神経失調症と診断され休養を余儀なくされた。発言によって名誉を傷つけられたとして、村上市議を相手取り150万円の損害賠償を求めて提訴していた。
村上市議は発言認め「キャラを紹介するつもりだった」と釈明
村上市議は毎日新聞の取材に対し、発言を認めたうえで「面白いキャラクターとして紹介したつもりだったが、反省している」とコメント。だが、裁判所はこうした“冗談のつもり”という主張を退け、発言が個人の尊厳を傷つける不法行為であると判断した。
「おっさんやないか」と性自認を否定するような発言を繰り返すことは、明らかに許容される範囲を超えている。
判決はそのように“線引き”を明確にし、政治家によるジェンダー差別への警鐘を鳴らした。
公職者としての言動に疑問 議長経験者に課される倫理観
当時、村上市議は議長という立場にあり、公正中立が求められる立場にあった。にもかかわらず、身内の議員に対して侮辱的とも取れる発言を行ったことは、政治倫理としても大きな問題をはらむ。
政治家として、多様性を尊重する社会の構築を担う立場にある以上、性自認や個人の尊厳に関わる問題への感度や理解が欠かせない。冗談や軽口のつもりでも、発言は当事者に深い傷を与え得るという基本が、今回の判決から強く突きつけられた。
SNSでも
「議長経験者として恥ずかしい発言」
「17万円では安すぎるが、司法が認めたのは一歩前進」
「公の場で差別発言をする人物が議員を務めていたのか」
など厳しい意見が噴出している。
今後の議会対応に注目 再発防止策はあるのか
村上市議は、裁判所の判断を重く受け止めるべき立場だ。今回の件を一過性のトラブルと片付けるのではなく、議会全体で多様性や人権に対する再教育とガイドライン策定が急務といえる。
公職者によるジェンダー差別が「うっかりの冗談」で済まされない時代に、村上市議はどのように責任を取り、信頼回復に努めるのか。市民や有権者の視線は厳しく注がれている。