2025-12-05 コメント投稿する ▼
大阪府吉村知事が22歳以下に1万円食費支援 物価高対策で過去最大規模に拡大
大阪府の吉村洋文知事は12月5日、物価高対策として22歳以下の府内在住者らを対象に、1万円相当のコメが購入できる電子クーポンなどを支給する事業を近く実施すると発表した。 大阪府の継続的な食費支援策は、物価高対策として給付金を優先する政策判断を示している。 大阪府の食費支援拡大は、物価高騰が一時的な現象ではなく長期化していることを前提とした政策転換を示している。
大阪府が物価高対策で1万円支援拡大 22歳以下に電子クーポン配布
大阪府の吉村洋文知事は12月5日、物価高対策として22歳以下の府内在住者らを対象に、1万円相当のコメが購入できる電子クーポンなどを支給する事業を近く実施すると発表した。これまでの7000円から3000円上乗せし、過去最大規模の食費支援となる。関連経費約160億円を府議会12月定例会に提出する補正予算案に計上し、国の重点支援地方交付金を財源に活用する方針だ。
支給対象は府内在住の22歳以下の若者や子供に加え、妊婦も含まれる。対象者は府内の取扱店舗でコメを購入できる1万円分の電子クーポン「お米PAYおおさか」の支給か、特設サイトで選べる1万円相当の食料品の現物支給のいずれかを選択できる。
大阪府では2023年3月以降、18歳以下の子どもや妊婦を対象に計4回にわたり5000円から7000円の食費支援を実施してきた。2025年9月には対象を19歳から22歳の若者にも拡大し、7000円相当の支援を行ったばかりだ。今回の1万円への増額は、物価高騰の長期化を受けた措置として注目される。
給付金優先の政策判断に賛同の声
大阪府の継続的な食費支援策は、物価高対策として給付金を優先する政策判断を示している。これは高市早苗政権が掲げる減税優先の方針とは対照的で、即効性を重視した判断と評価できる。
物価高対策をめぐっては、政府レベルで減税か給付金かの議論が続いている。高市首相は消費税減税について「物価高対策に即効性はない」として事実上撤回し、代替案として18歳以下の子ども1人につき2万円の現金給付を打ち出している。一方、大阪府の吉村知事は一貫して給付金による直接支援を重視しており、その効果を実証してきた。
SNS上では大阪府の取り組みに対する評価が相次いでいる。
「大阪府の食費支援は本当に助かる。1万円に増額してくれて嬉しい」
「お米クーポンは使いやすいから継続してくれるのは良い政策だと思う」
「他の自治体も大阪府を見習ってほしい。減税より給付金の方が確実」
「22歳まで対象拡大したのは素晴らしい。大学生も物価高で苦しんでる」
「妊婦も対象に入ってるから子育て世帯には本当にありがたい制度」
国の交付金制度が後押し
大阪府が継続的に食費支援を実施できる背景には、国の重点支援地方交付金制度がある。この制度により自治体が「おこめ券・電子クーポン」「水道料金減免」「食料品支援」などを自由に組み合わせて実施できる仕組みが整っている。
国の制度設計では世帯あたり1万円+1人あたり3000円相当を想定した家計支援メニューが例示されており、大阪府の1万円支援はこの枠組みを最大限活用した形となっている。財源が国の交付金であることから、府の財政負担を抑制しつつ大規模な支援を継続できる構造だ。
一方で、自治体によって対応が分かれている現状もある。大阪府交野市のように「おこめ券配布を見送る」と決定した自治体もあり、同じ交付金制度下でも自治体の政策判断により支援内容に格差が生じている。
物価高長期化への対応策
大阪府の食費支援拡大は、物価高騰が一時的な現象ではなく長期化していることを前提とした政策転換を示している。消費者物価指数は依然として高水準で推移しており、特に食料品価格の上昇が家計を圧迫している状況が続いている。
とりわけ子育て世帯や若年層においては家計に占める食費の割合が大きく、物価高の影響を強く受けている。大阪府の継続支援は、こうした脆弱層への的確な支援として評価される一方、根本的な物価上昇の解決策ではないという課題も残る。
吉村知事は今回の支援拡大について、物価高騰の影響を受ける子育て世帯や若い世代への支援強化が目的だと説明している。特に大学生など高等教育を受ける世代への支援拡大は、将来の人材育成の観点からも重要な政策判断とみられる。
他の物価高対策も同時実施
大阪府は食費支援と併せて、社会福祉施設等の職員を対象とした3万円分のギフトカード配布事業にも約140億円を計上する。全産業平均より収入が少ないとされる社会福祉分野の処遇改善を図る狙いがある。
さらに高騰する光熱費対策として、LPガス利用者世帯への補助や医療機関・私立学校などを支援する事業に約100億円を拠出する方針も示した。これらを合計した物価高対策の総額は約400億円規模に上る見込みだ。
吉村知事のこうした包括的な物価高対策は、府民の生活実態を踏まえた実用的なアプローチとして注目される。減税による間接的な負担軽減ではなく、直接給付による即効性のある支援を重視した政策姿勢は、他の自治体首長にも影響を与える可能性がある。
政策効果と今後の課題
大阪府の食費支援事業は、これまでに累計で数百万人の対象者に支援を提供してきた実績がある。お米PAYおおさかの利用可能店舗も府内各地に拡大しており、利用者の利便性向上も図られている。
しかし一方で、継続的な給付金支給が府民の国や自治体への依存を高める懸念も指摘される。物価高騰の根本的な解決には生産性向上や賃上げなどの構造的な対策が不可欠であり、給付金による対症療法だけでは限界があるのも事実だ。
大阪府の取り組みは全国の自治体における物価高対策のモデルケースとして注目されているが、持続可能な支援のあり方についてはさらなる検討が必要となっている。