2025-10-24 コメント投稿する ▼
維新の議員定数削減は改革か論点そらしか 企業献金禁止棚上げで連立合意に批判
議員定数削減は政治家の身を切るものではなく、切られるのは民意だという指摘があります。 野党間の連携協議では基本政策の一致が不可欠だと繰り返してきた維新が、自民党との連立では論点を企業献金禁止から議員定数削減にすり替えたとの批判が出ています。 衆院選挙制度に関する協議会の逢沢一郎座長は、与野党で議員定数を含めあるべき選挙制度を議論中の状況で、自民・維新でいきなり定数削減は論外だと批判しました。
維新の吉村洋文代表は定数削減を改革の本質と位置づけ、藤田文武共同代表は政治家が自らに厳しい姿勢を示すためだと説明しています。裏金問題など自民党の金権体質に対する国民の不信感を背景に、身を切る改革をアピールする狙いがあります。
削減で減る支出は年35億円
国会議員50人の削減で減る支出は年約35億円にとどまります。一方、政党助成金は国民1人250円、年間総額約316億円を日本共産党以外の党が分け合っており、議員が減っても総額は変わらないため議員1人が受け取る額はかえって増えることになります。
議員定数削減は政治家の身を切るものではなく、切られるのは民意だという指摘があります。特に比例代表を削減し、大量の死票を生む小選挙区の割合を増やすことは、民意を無視した政治を可能にする突破口になるとの批判です。
「議員を減らせば無駄が減ると思ったけど、政党助成金が1人当たり増えるなんて」
「身を切る改革というなら政党助成金廃止が先では」
「比例削減は少数政党を排除するだけ。民主主義の後退だ」
「定数削減より企業献金禁止を優先すべきだった」
「政治家が自分たちの都合で選挙制度を変えるのはおかしい」
企業献金禁止は棚上げに
維新はこれまで企業・団体献金の禁止を政治改革の柱として主張してきました。しかし、自民党との連立協議では、献金問題について協議体を設置して検討し、2027年9月までに結論を得るとするにとどめ、事実上棚上げされました。
7月の参院選で自公両党が過半数割れに追い込まれた最大の争点の一つが、裏金事件の解明と企業・団体献金の禁止でした。野党間の連携協議では基本政策の一致が不可欠だと繰り返してきた維新が、自民党との連立では論点を企業献金禁止から議員定数削減にすり替えたとの批判が出ています。
民意の反映が困難に
吉村氏は比例代表に復活当選の仕組みがあることを理由に、定数削減するなら比例代表だと述べています。小選挙区制と比例代表制が並立する現在の衆院の選挙制度は、小選挙区が民意を集約し、比例代表区が民意を反映するという仕組みです。
比例定数の削減は、大政党を一層有利にし、少数政党を議会から締め出すもので、多様な民意の反映をさらに困難にします。衆院選挙制度に関する協議会の逢沢一郎座長は、与野党で議員定数を含めあるべき選挙制度を議論中の状況で、自民・維新でいきなり定数削減は論外だと批判しました。
選挙制度は民主政治の基本的土台であり、少数会派を含め全ての党派が議論に参加し論点を詰めるべきものです。自民と維新の党略的な合意を一方的に優先させることに対し、立憲民主党は政治とカネの問題から目をそらそうとしているのではないかと批判しています。
2012年には政治家が身を切ると称し国会議員定数削減と引き換えに消費税10%への増税法が強行されました。維新の拠点である大阪府・市では議員定数削減と引き換えに公務員が減らされ、公立病院や府立高校が統廃合され行政サービスが低下した経緯があります。
身を切る改革は、政治家も身を切るからと国民に負担増を強い、社会保障を改悪し、行政サービスを削って国民に痛みを押しつけるための口実だという指摘があり、今回の定数削減提案をめぐる議論は今後も続きそうです。