2025-09-10 コメント投稿する ▼
維新・吉村代表「離党なら辞職を」比例議席の正統性と過去の前原誠司氏合流問題が浮上
大阪府庁で記者団に「維新の看板を信頼し、投票した有権者を裏切る行為だ」と語り、議席を保持したまま離党することに強い疑義を呈した。 比例区で当選した議員は本来、党の名簿に基づき議席を得ているため、離党してもそのまま議席を保持する行為には批判が強い。 比例での復活当選という国民民主党の名簿によって得た議席を保持しつつ、別党を経由して維新に迎え入れられた経緯は、比例制度の趣旨を損ないかねない事例である。
維新代表、離党議員に「辞職を」要求
日本維新の会の吉村洋文代表は10日、離党届を提出した守島正衆院議員(大阪2区)ら3人について、撤回しない場合は議員辞職を求める姿勢を明らかにした。大阪府庁で記者団に「維新の看板を信頼し、投票した有権者を裏切る行為だ」と語り、議席を保持したまま離党することに強い疑義を呈した。
守島氏からは提出日の8日朝に連絡があり、吉村代表は撤回を促したものの「思いは変わっていない」との返答があったという。離党届は提出から1週間預かる慣例があり、その間に最終判断が下される見通しだ。吉村代表は「離党しても議員を続けるのは筋が通らない」と強調した。
「離党しても議席を持ち続けるのは裏切りだ」
「比例や政党名で当選した以上、責任を果たすべき」
「維新はクリーンさを売りにしてきたのでは?」
「結局、他党と同じ『看板ロンダリング』だ」
「有権者の信頼を軽んじる行為にしか見えない」
有権者の声は厳しく、議席の正統性を問う論調が広がっている。
比例制度と議席の「乗り換え」問題
今回の問題の根幹には比例代表制の議席をどう扱うかがある。比例区で当選した議員は本来、党の名簿に基づき議席を得ているため、離党してもそのまま議席を保持する行為には批判が強い。とりわけ「政党名で投票した有権者を無視している」との意見が根強い。
日本維新の会は改革や透明性を掲げ、既存政党との差別化を強調してきた。しかし過去には、比例議席を「看板替え」に利用する事例を容認してきた経緯がある。その象徴的な例が前原誠司氏のケースである。
前原誠司氏の合流と比例議席の正統性
前原誠司氏は2021年の衆議院選挙で京都2区に小選挙区落選したものの、比例近畿ブロックで復活当選した。国民民主党の名簿により議席を得たにもかかわらず、議員辞職せずに議席を保持したまま活動を継続。2023年11月には国民民主党を離党し、新党「教育無償化を実現する会」を立ち上げた。
しかし、この新党は2024年10月に解散され、前原氏は日本維新の会に合流。わずか2か月後の12月には同党の「共同代表」に就任した。比例での復活当選という国民民主党の名簿によって得た議席を保持しつつ、別党を経由して維新に迎え入れられた経緯は、比例制度の趣旨を損ないかねない事例である。
この一連の経過を吟味せず受け入れた維新の姿勢は、「比例議席を党利党略に利用した」との批判を招いた。
維新の掲げる「クリーンさ」と現実の矛盾
維新は改革政党を標榜し、国政でも「既得権益打破」「透明性の高い政治」を強調してきた。しかし、実際には比例議席の扱いで矛盾を露呈している。離党議員に辞職を求める一方で、過去に比例議席の「看板乗り換え」を容認した前例があるため、党の一貫性に疑問が投げかけられている。
有権者が求めているのは政党間の「数合わせ」ではなく、信頼できる政治の実現である。比例制度の下での当選は党への投票を背景にしており、その重みを軽視することは国民の付託を裏切る行為に等しい。
維新が今後、比例制度と議席の正統性をどう位置づけるのか。その姿勢は同党の政治的信頼を大きく左右することになろう。今回の守島氏らの離党問題は、単なる党内の人事問題ではなく、比例代表制の在り方と政党倫理を問う重大な問題として国民に突き付けられている。
比例制度軽視は国民の信頼を失う
比例代表制度は多様な民意を国政に反映させるために設けられている。しかし、比例で獲得した議席を個人の裁量で持ち運び、党を渡り歩くことを容認するのは制度の趣旨を損なう。今回の維新の対応が過去の前例と比較されるのは必然であり、矛盾を抱えたままでは「クリーンさ」を標榜する資格は問われ続けるだろう。
有権者の信頼をつなぎとめるためには、政党自身が比例制度の意義を重視し、議席を党の財産として守る姿勢を示すことが不可欠である。守島氏らの去就をめぐる議論は、政党政治の根幹を見直す契機となる可能性がある。