2025-07-03 コメント: 1件 ▼
「余命8年で党を変える」岸博幸氏、自民から初出馬 決意の裏にあるジレンマとは
「余命8年で党を変える」
がんと闘う岸博幸氏、自民から比例出馬の覚悟と矛盾
がん公表とともに「自民党を変える」と宣言
7月3日公示の参院選で、自民党比例代表から出馬したのは経済評論家・岸博幸氏(62)。慶応大の教授として知られ、テレビ番組で鋭い経済論評を展開してきた人物だ。出馬にあたり、自身ががんの一種「多発性骨髄腫」であることを公表。「余命10年と宣告され、もう8年しかない。だからこそ、党を変える覚悟で立候補した」と訴えた。
第一声の舞台は、教授を務める慶応大学日吉キャンパス前(横浜市)。集まった聴衆に向けて、「経済政策を正す。生活が苦しい人の収入を増やす政策が必要だ」と語気を強めた。
「余命8年で出馬って、すごい覚悟だ」
「がんを公表した上で“党を変える”とは…本気度は感じる」
「でも自民党に入って“暴れる”ってどういう意味?」
「自民にいて本当に変えられるの?むしろ利用されるだけじゃ?」
「岸さん好きだったけど、なんで自民なのかは疑問」
自民党からの出馬にある根本的矛盾
「党を変えるために自民から出る」――その宣言はインパクトがある一方、自民党という巨大な組織の中で“変革”を掲げる難しさも露呈している。岸氏は経産省出身で、かつて菅政権下では内閣官房参与として政策形成に関わってきたが、外からの経済評論と、内からの政治変革はまったく別の次元だ。
比例代表での出馬ということは、政党への忠誠と支持が票に直結する仕組みでもある。つまり、「自民党の看板」で当選する一方で、「自民党を変える」と語る岸氏の姿勢には矛盾が生じる。
一部では「党内から変えられる存在が必要」という擁護の声もあるが、それが可能だったのなら、これまで何度もチャンスはあったはずだという冷静な見方もある。
本気で「収入を増やす」政策を訴えるなら
岸氏は「生活が苦しい人の収入を増やす政策が大事」とも語ったが、ではどのように増やすのか。その具体策には踏み込んでいない。日本の実質賃金が下がり続け、消費税やインボイスで個人事業主や中小企業への負担が重くのしかかっている現状を鑑みれば、所得増加を実現するためには大胆な減税と規制改革が不可欠だ。
特に、消費税減税やインボイス制度の廃止といった議論は避けて通れない。だが、自民党内でこうした政策を訴え、実現させるのは非常に困難だ。岸氏自身が“自民の中で暴れる”と言うほどに、党内には抵抗勢力が存在するという前提でもある。
「収入増やすって言うけど、減税とか言わないの?」
「給付じゃなく減税を。そっちの方がよほど経済政策」
「岸さんの話、テレビで聞いてるときは良かったけどなあ…」
「インボイスどうするか聞きたい」
「“生活苦しい人”ってフリーランスも含まれるんですよ?」
余命をかけた挑戦に、真の改革はできるのか
がんの闘病を続けながらの出馬。岸氏の決意が真剣であることは疑いようがない。「余命8年」を明かし、その時間の中で「党を変える」と言い切る姿勢には、多くの人が心を動かされたことだろう。
だが、日本の経済政策に本気でメスを入れたいのなら、そもそも自民党の外から改革を求めた方が現実的だったのではないか――そんな声も出始めている。党内の論理に取り込まれるのか、それとも、外からの論客としての鋭さを維持し続けるのか。真価が問われるのはこれからだ。