2025-11-18 コメント投稿する ▼
名護市長選2026:日米政府寄りの現職 vs 「くらし最優先」のクミコ氏の激突
こうした課題が山積する中、再編交付金の交付自体は継続されてきたため、 「基地を受け入れて得られる交付金が暮らしの実益になっていない」との不満が根強いのです。 これに対しおながクミコ氏は、「交付金に頼らない市政」への転換を掲げ、暮らしを第一に据える政策を訴えています。
名護市長選、告示2カ月前に浮かぶ重たい焦点
基地交付金頼みの現市政と生活重視の新陣営の対決
名護市(沖縄県)では、2026年1月18日の市長選告示(25日投票)を2カ月後に控え、現職・渡具知武豊(とぐち たけとよ)市長と、市議のおなが クミコ氏(新)の事実上の一騎打ちが濃厚になっています。今回の論戦構図は「日米政府 vs 県民」という対立軸が鮮明で、市民の暮らし、基地問題、財政姿勢が問われる選挙です。
現市政は交付金頼み、市民の暮らしが後回しに?
およそ8年にわたる渡具知市長の2期目の市政運営について、生活実感に乏しいとの批判が根強くあります。特に指摘されるのが、名護市が米軍再編交付金に依存してきた点です。再編交付金を市財政の安定源とする一方で、市民所得は十分に回復していないという指摘があります。共産党系など野党陣営は、2022年時点の市民所得が市長就任前(2017年)から17万円も減少したと主張し、格差と生活苦が深化していると警鐘を鳴らしています。
また、保育や介護の担い手不足も顕在化しており、「保育所に入れない」「特養ホームに入れない」といった声が市内で後を絶ちません。農林水産業においても振興予算が削られ、生産額が落ち込んでいるとの報告があります。こうした課題が山積する中、再編交付金の交付自体は継続されてきたため、 「基地を受け入れて得られる交付金が暮らしの実益になっていない」との不満が根強いのです。
おながクミコ氏、「暮らし最優先」で転換を訴える
これに対しおながクミコ氏は、「交付金に頼らない市政」への転換を掲げ、暮らしを第一に据える政策を訴えています。3日の事務所開きでは、以下のような具体的な公約が示されました。
* 保育料・給食費・子ども医療費の無料継続
* 介護士・保育士の処遇改善、「待機児解消」「入所待機者解消」
* 公契約条例の整備で適正価格を保障
* 18歳までのバス代無料・割引制度導入
* パートナーシップ・ファミリーシップ制度の導入
これらは、名護市の市民が日々直面している生活課題に正面から応える内容です。特に、保育・介護・交通といった「生活の基盤」を整備することで、市民生活の底上げを図る狙いが明確です。
さらにおなが氏は、新基地(辺野古)建設に反対する立場を鮮明にしています。軍事要塞化を進める日米両政府に協力してきたとして現政権を批判し、自然環境の保全と基地に依存しない地域経済の循環を構想に掲げています。これは、基地問題を単なる安全保障ではなく、地域の暮らしに直結する問題として訴える構図です。
現職は基地賛否を明言せず戦略を継続
一方、渡具知市長は9月17日、市議会での一般質問で3選出馬を表明しました。与党(自民・公明)の支援を受けつつ、「名護市のさらなる発展」を掲げ、3期目に臨む構えを示しています。
ただし、辺野古移設に関しても過去と同様に明確な賛否は避け、「私の発言で工事が加速する、あるいは止まることはない」という慎重なスタンスを維持しています。
この「沈黙戦略」は過去の選挙でも功を奏してきました。2022年には移設反対派の候補を5,000票余りで退けて再選を果たしています。
また、朝日新聞の過去調査でも、現職と新顔の対決は拮抗していたと報じられており、争点の焦点が基地問題以外の「暮らし・経済」に移っている実態があるとみられています。
「日米政府 vs 県民」の構図、注目される意味
今回の選挙戦は単なる市政選挙にとどまりません。沖縄県、特に名護市は基地の是非が国政や日米関係の象徴的な争点となってきました。おなが氏が掲げる「基地に頼らない、暮らし重視」の市政は、日米政府が進める辺野古新基地政策への明確な批判であり、県民と国・米との摩擦点を政策選択として表面化させるものです。
与党支持の現職が3選を目指す一方で、「基地問題や交付金頼みではなく市民の生活を立て直す」のか、「基地を受け入れて財源を確保しつつ発展を続ける」のか。名護市民の判断は、沖縄の自治と国との関係性を問う重大な局面になると言えるでしょう。
名護市長選は、告示まで残り2カ月。日米政府と基地問題で協調してきた現職と、住民の暮らしを最優先に据え、基地依存からの転換を掲げる新顔との対決は、沖縄の政治と社会にとって象徴的な選挙です。所得低下や社会保障の課題を抱える市民にとって、この戦いは「自分たちの生活を誰が支えるか」を問う選択でもあります。基地問題だけではなく、地域の未来と暮らしのあり方を左右する戦いとして注目が集まります。