2025-12-10 コメント投稿する ▼
障がい児福祉手当の所得制限撤廃を酒井菜摘議員が訴え
障がい児家庭は生活・就労・介護の負担が重く、所得制限によって優先的に支援が必要な家庭ほど制度から排除される状況が続いています。 酒井議員は、議員立法として所得制限撤廃法案をすでに提出したと説明し、政府の判断を迫りました。 障がい児には医療ケアや日常的な見守りが必要で、介護者は家庭内に拘束される現実があります。
障がい児福祉手当の所得制限が国会論戦の中心に
2025年12月10日の衆院予算委員会で、立憲民主党(正式名称:立憲民主党、略称:立民)の酒井菜摘議員が、障がい児福祉手当の所得制限撤廃を涙ながらに訴えました。障がい児家庭は生活・就労・介護の負担が重く、所得制限によって優先的に支援が必要な家庭ほど制度から排除される状況が続いています。酒井議員は、議員立法として所得制限撤廃法案をすでに提出したと説明し、政府の判断を迫りました。
母親の実情から見える負担の構造
酒井議員は、当事者の声を読み上げました。そこでは介護離職、精神的負担、他の子どもの学費確保すら困難という現実が語られています。障がい児には医療ケアや日常的な見守りが必要で、介護者は家庭内に拘束される現実があります。働きながら介護を続けることが困難な家庭は多く、制度が現実に追いついていないことが浮き彫りになります。
「退職せざるをえず人生が途切れたように感じた」
「兄弟児の進学資金すら貯められない状況はつらい」
「外出できる気力もなく、長期休暇は苦痛だった」
「サービス費増でデイは週1日しか契約できない」
「十分な支援があれば子どもの成長をもっと支えられたのに」
こうした声は特別な例ではなく、現場では頻繁に聞かれる実態です。しかし、高所得世帯扱いとなると手当は途切れ、サービス料負担が急増します。家庭が耐え切れなくなる構造そのものが問題です。
高市首相は財源の確保を理由に慎重姿勢
これに対し高市早苗総理は、制度上は応能負担として設定されていると説明しました。過去には幼児年代の無償化や補装具費制度の見直しが実施されています。しかし現金給付を含む制度拡大は安定財源が必要で、一時的な補正予算投入では持続不可能と述べています。総理の発言は制度運営の現実を踏まえていますが、負担が先に発生し、救済は後回しになる傾向は否めません。家庭側の限界が先に訪れる以上、行政の判断は遅く見えます。
所得制限は「線を引くための制度」であり、線の外側にいる家庭を切り捨てる構造が本質です。実態として、収入が一定水準を超えた家庭であっても障がい児養育の負担は通常の家庭とは比較になりません。支出は収入以上の速度で膨らみ、制度上は「高所得」と扱われても実生活では困窮に陥ることがあります。
本当に問うべきは支援の配り方と優先順位
所得制限撤廃に必要な財源は330億円とされています。家計規模から見れば国家財政にとって決して巨額ではありません。しかし補正では対応困難だとする政府姿勢であれば、恒久財源をどこに設定するのかが問われます。本来、支援は子ども本人の権利を中心に設計されるべきであり、親の年収で切る制度は合理性を欠きます。
同時に、教育や福祉を無償化するのであれば、本来は制度側の厳格化も必要です。支援を必要とする子が確実に恩恵を受けられるよう、事務基準や自治体運用を見直す必要があります。税財源には限りがあり、負担を明確化したうえで制度化すべきです。家庭任せにすれば、子どもは社会参加の時点ですでに不利を抱えたまま人生を進まざるを得ません。
議員立法は国会で議論が始まります。求められるのは「制度を広げるかどうか」ではなく、「支援対象から外される家庭をどこまで許容できるのか」という社会の判断です。