2026-03-26 コメント投稿する ▼
南海トラフ巨大地震 和歌山県が地震動予測と津波浸水想定を公表、10年ぶりに見直し
特に、「発生頻度の高い地震」というシナリオにおいては、那智勝浦町と太地町で最大震度が6弱から6強に引き上げられました。 また、「最大クラスの巨大地震」のシナリオでは、日高川町で最大震度が6強から7へと、最も強い揺れを観測する可能性が示されました。
巨大地震への備え、和歌山県が最新想定を公表
日本列島を襲う可能性のある巨大地震の一つ、南海トラフ巨大地震。その発生に備え、和歌山県は2026年3月25日、独自の「地震動予測」と「津波浸水想定」を公表しました。これは、約10年ぶりとなる大規模な見直しで、最新の知見に基づき、より詳細な被害状況を把握しようとするものです。
この見直しは、学識経験者らで構成される「県地震・津波被害想定検討委員会」によって行われました。最新の地盤データや海底地形の情報を駆使し、計算の精度を高めることで、より現実に近い被害想定を目指しました。
南海トラフ巨大地震は、一度の揺れで複数のプレートが連動して動く「南海・東南海地震」(マグニチュード8.7)や、さらに規模の大きい「最大クラスの巨大地震」(マグニチュード9.1)など、複数のシナリオが想定されています。今回の見直しでは、これら2つの条件を設定し、県内を250メートル四方のメッシュに区切って詳細な分析が行われました。
地震動予測、一部地域で震度上昇
今回の見直しで公表された地震動予測では、前回予測と比較して、大きな構造的な変化は見られませんでした。しかし、詳細に見ると、一部の地域で揺れの強さを示す最大震度が上昇しています。
特に、「発生頻度の高い地震」というシナリオにおいては、那智勝浦町と太地町で最大震度が6弱から6強に引き上げられました。また、「最大クラスの巨大地震」のシナリオでは、日高川町で最大震度が6強から7へと、最も強い揺れを観測する可能性が示されました。
これは、これらの地域において、より強い揺れが発生する可能性が高まったことを意味します。想定される揺れの強さが増したことは、建物の耐震設計や、地域住民の避難計画を見直す上で重要な情報となります。
津波想定、一部地域で高潮・到達時間が変化
一方、津波浸水想定においては、いくつかの注目すべき変化がありました。いずれの地震シナリオにおいても、浸水面積自体は前回予測より減少しました。これは、近年の海岸保全施設の整備などの効果も反映されていると考えられます。
しかし、最大津波の高さや、津波が到達するまでの時間については、変化が見られました。
「発生頻度の高い地震」というシナリオでは、串本町で最大津波高が10メートルから11メートルへ、那智勝浦町で8メートルから9メートルへと、それぞれ1メートル上昇しました。また、津波の到達時間は、和歌山市で1分、田辺市で1分、印南町で1分早まるという結果も示されました。
さらに深刻なのは、「最大クラスの巨大地震」のシナリオです。この場合、串本町では最大津波高が17メートルから18メートルへ、すさみ町では19メートルから20メートルへと上昇しました。
特に、串本町樫野の海岸部では、津波の到達時間が前回予測の3分から、わずか1分へと大幅に早まる試算となりました。この地点について県は、「あくまで海岸部の一地点であり、町全体ではない。海岸部は断崖で住民への直接的な被害は想定されない」としつつ、「市街地への到達時間は5分あるので、迅速な避難行動が重要」と強調しています。
県民への呼びかけと今後の対策
今回の地震動予測および津波浸水想定は、和歌山県防災企画課のホームページで公開されており、誰でも閲覧することが可能です。県は、これらの新しい想定に基づき、令和8年度中には、人的被害や建物被害、そして具体的な防災・減災対策についても公表する予定としています。
宮崎泉知事は、今回の結果について「一喜一憂することなく、住宅の耐震化や避難経路の確認などを着実に進めてほしい」と県民に呼びかけました。想定される被害が変化したからといって、過度に恐れるのではなく、冷静に、そして具体的に、自分たちの身を守るための行動を促す考えです。
南海トラフ巨大地震は、いつ発生してもおかしくないと言われています。和歌山県が公表した最新の想定は、私たち一人ひとりが、日頃から防災意識を高め、具体的な備えを進めるための貴重な指針となるでしょう。行政の取り組みを待つだけでなく、自助・共助の精神に基づいた行動が、いざという時の被害を最小限に食い止める鍵となります。
まとめ
- 和歌山県は10年ぶりに南海トラフ巨大地震の地震動予測と津波浸水想定を見直した。
- 地震動予測では、一部地域で最大震度が上昇した。
- 津波浸水想定では、浸水面積は減少したが、最大津波高が上昇した地域や、津波到達時間が早まった地点があった。
- 特に串本町樫野では、最大クラスの地震シナリオで津波到達時間が大幅に早まる試算となった。
- 和歌山県は、最新想定に基づき、県民に対し住宅耐震化や避難経路確認などの具体的な備えを呼びかけている。
- 想定結果は県HPで公開されており、今後は人的・建物被害、防災対策も公表予定。