2026-04-03 コメント投稿する ▼
ジェットフォイル「つむぎ」那覇港に初入港 下地幹郎会長「感無量」5月就航へ
佐賀県での修繕と船舶検査を終えたジェットフォイル「つむぎ」が2026年4月3日、那覇港に初入港しました。運営会社・久米島オーシャンジェット(沖縄県島尻郡久米島町)の下地幹郎会長は「就航を延期してご迷惑をおかけした。こうやって無事那覇港に船を持ってこられて感無量だ」と喜びを語りました。5月の就航に向け、いよいよ最終段階に入りました。
離島の夢を乗せて 下地幹郎会長が語るプロジェクトの意義
久米島オーシャンジェットは2023年に下地幹郎氏が会長として立ち上げた会社です。元衆議院議員の下地氏は「人口減少が進む久米島の未来に希望の灯をともしたい」という思いを胸に、この事業を推進してきました。那覇と久米島、さらに那覇と本部町を結ぶ「トライアングル航路」を目指し、観光振興と離島の利便性向上の両立を掲げています。
船体「つむぎ」はかつてJR九州が博多―韓国・釜山間で運航していた高速船「ビートル」を購入・改修したものです。「つむぎ」という愛称は久米島の児童・生徒から公募して決定しました。時速約83キロで航行するジェットフォイルは、現在のフェリーで約3時間かかる那覇―久米島間を約70分に短縮します。那覇―本部間は約50分を見込んでいます。定員は約230人で、年間315日の運航を計画しています。
「フェリーで3時間は本当につらかった。70分になるなら生活が変わる」
「久米島出身だけど、那覇との行き来がこんなに楽になるとは思わなかった」
2度の延期を乗り越え、いよいよ5月就航へ
就航スケジュールは当初2024年の予定でしたが、これまでに2度延期されました。船体の改修に高度なアルミ加工や特殊な修繕が必要で、部品調達や特殊技能を持つ人員の確保に時間がかかったためです。下地会長は「来年5月の就航は目標ではなく決定事項だ」と強調しており、今回の那覇港入港は、その約束を果たすための大きな一歩といえます。
料金については、那覇―久米島間が大人片道7000円(久米島町民は3500円)、那覇―本部間が6000円を想定しています。フェリーの片道3450円と比べると割高ですが、飛行機の片道約12769円と比べると費用を抑えた選択肢として注目されています。
「2度も延期されたから正直信じてなかった。本当に来たんだ」
最大の課題はクジラとの共存 AI・減速・ドローンで多重対策
一方で課題となっているのが、クジラとの衝突対策です。那覇と久米島の間は冬場(12月から3月)にザトウクジラが多く回遊する海域にあたります。時速80キロを超える速度で航行するジェットフォイルがクジラと衝突した場合、乗客と船体双方への被害が非常に大きくなる恐れがあります。2019年に他社のジェットフォイルがクジラと衝突した事故では100名以上が負傷するなど、深刻な事故が過去に起きています。
久米島オーシャンジェットはこの課題に対し、複数の対策を講じています。水中マイクでクジラの鳴き声をAIが解析して位置を特定する「クジラ鳴音探知システム」の導入を進めているほか、クジラが嫌がる音を発する水中スピーカーを船体に搭載する計画も進めています。さらに、クジラの出現頻度が高い海域では航路を一部変更し、子クジラが集まりやすい水深200メートル以下の区域では時速65キロ以下に減速する方針を掲げています。ドローンや監視船を使った出航前の安全確認も計画されており、乗客へのシートベルト着用の徹底も義務付けられています。
「クジラとの衝突事故が心配。万全の体制で臨んでほしい」
那覇港への初入港という節目を迎え、5月の就航まで残り時間はわずかとなりました。久米島の「離島苦」(島での生活上の不便さ)を解消し、北部の慢性的な交通渋滞を海路で緩和するという意義は大きいものがあります。同時に、クジラとの共存という沖縄の海ならではの課題をいかにクリアするかが、この事業の信頼を左右する最大の鍵といえます。安全対策を着実に積み重ね、多くの人が安心して乗れる高速船として定着することが期待されます。
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まとめ
- ジェットフォイル「つむぎ」が2026年4月3日に那覇港へ初入港
- 下地幹郎会長が「感無量」と喜びを語り、5月就航に向けた最終段階に
- 船体はJR九州の「ビートル」を購入・改修したもので、愛称は久米島の子どもたちが公募
- 時速約83キロで那覇―久米島を約70分、那覇―本部を約50分に短縮(フェリーは那覇―久米島で約3時間)
- 定員約230人、年間315日運航を計画
- 料金は那覇―久米島の大人片道7000円(久米島町民は3500円)、那覇―本部は6000円を想定
- 就航は当初2024年予定から2度延期。船体改修の難しさが要因
- ザトウクジラとの衝突が最大の安全課題。AI探知システム、水中スピーカー、航路変更、減速運航など多重対策を実施予定