2025-09-16 コメント投稿する ▼
佐賀・吉野ケ里町長の発言がパワハラ認定 課長死亡受け報告書公表と自治体の課題
報告書は死亡との直接的な因果関係については評価対象としなかったが、「優越的な関係を背景とした言動であり、パワハラの要件を満たす」と結論づけた。 男性の遺族は、うつ病の発症と自殺の直接原因が町長のパワハラにあると主張している。 しかし報告書は「死亡との因果関係は評価しない」と結論づけ、遺族側は不満を示している。
佐賀・吉野ケ里町で町長発言がパワハラ認定
佐賀県吉野ケ里町は16日、財政協働課長だった男性(当時58歳)が昨年11月に死亡した事案について、町長の発言がパワーハラスメントにあたるとする第三者委員会の調査報告書を公表した。男性はうつ病を発症しており、遺族は「町長によるパワハラが原因の自殺だ」と訴えてきた。
報告書は死亡との直接的な因果関係については評価対象としなかったが、「優越的な関係を背景とした言動であり、パワハラの要件を満たす」と結論づけた。
「課長職を代えてやる」発言の重み
調査によると、昨年4月の面談で男性が新庁舎建設計画の財政負担に懸念を示した際、伊東健吾町長は「俺が課長職を代えてやる。建設的な意見を言いなさい」と発言した。これが男性の心身に強い影響を与えたとみられている。
報告書は、この発言が上下関係を背景に相手を威圧する性質を持ち、ハラスメントの典型と位置付けた。町長自身も第三者委の聴取に「結果としてパワハラのようなことを言ってしまったのは事実」と認めている。
「権力者の一言が部下を追い詰める典型」
「謝罪だけで済む話じゃない」
「責任を取らないトップが一番の問題」
「現場で真面目に働く人ほど犠牲になる」
「地方政治の閉鎖性が浮き彫りだ」
SNS上ではこうした怒りや不信の声が相次いでいる。
遺族の訴えと町の対応
男性の遺族は、うつ病の発症と自殺の直接原因が町長のパワハラにあると主張している。しかし報告書は「死亡との因果関係は評価しない」と結論づけ、遺族側は不満を示している。
一方で、町長は「職員が亡くなられたことを重く受け止めている。報告書を真摯に受け止め、ご遺族におわび申し上げる」とのコメントを発表した。ただ、進退への言及はなく、責任の取り方を巡って議論は続く見通しだ。
地方自治体に問われるパワハラ防止体制
今回の事案は、地方自治体における職場環境の脆弱性を浮き彫りにした。閉ざされた職場では、トップの言動が強く作用しやすい。特に地方政治は人間関係が濃密な一方、内部告発や外部相談が難しい環境でもある。
国や自治体はハラスメント防止法制を整備してきたが、実際に現場で働く職員を守る体制は十分とは言えない。今回の報告書公表を契機に、地方組織におけるパワハラ防止体制の徹底や相談窓口の独立性確保が求められている。
町長発言のパワハラ認定と自治体職場環境改善の課題
「俺が課長職を代えてやる」という一言が示すのは、権力構造の中での言葉の重みだ。トップの言動次第で部下の人生が大きく揺らぎ、最悪の結果を招く可能性がある。
報告書の結論は、町の職場文化そのものに警鐘を鳴らすものでもある。自治体は「責任の所在を明確にすること」「再発防止策を早急に整えること」が不可欠だ。国民にとって身近な自治体だからこそ、安心して働ける環境整備が求められている。