2025-12-01 コメント投稿する ▼
鈴木直道知事が石原宏高環境大臣に緊急要請、釧路メガソーラー法整備で日本エコロジー違法開発阻止
釧路湿原周辺のメガソーラー建設問題が深刻化する中、鈴木直道北海道知事が2025年12月2日、石原宏高環境大臣を訪問し、緊急の法整備を要請しました。
違法開発を繰り返す事業者と行政の攻防
北海道知事が緊急要請した釧路メガソーラー法整備
釧路湿原周辺のメガソーラー建設問題が深刻化する中、鈴木直道北海道知事が2025年12月2日、石原宏高環境大臣を訪問し、緊急の法整備を要請しました。大阪の日本エコロジーが市の協議を無視して工事再開を表明したことに対し、行政が異例の直接要請に踏み切る事態となっています。
法令違反を重ねる日本エコロジー
釧路湿原周辺でのメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設を巡り、大阪市の事業者が北海道から文書で行政指導を受ける前に25回、口頭やメールで指導を受けていたことが明らかになりました。事業者の日本エコロジー(松井政憲社長)は、複数の法令に違反しながらも行政指導を無視し続けています。
太陽光発電施設の建設で、0.5ヘクタールを超える森林を開発するには、都道府県知事の許可が必要だと森林法で定められていますが、日本エコロジーは道に申請をせず、0.86ヘクタールの森林をすでに伐採していたことが発覚し、さらに土壌汚染対策法は、0.3ヘクタール以上の盛り土などを行う場合、工事が始まる30日前までに都道府県知事へ届け出るよう事業者に義務付けていますが、同社は3月に工事を始めたにもかかわらず、届け出の提出は9月と約6ヵ月遅れでした。
住民の声は事業者への強い不信を示しています。
「何度指導されても聞かない業者なんて信用できない。地元の声を完全に無視している」
「タンチョウやキタサンショウウオが心配で仕方ない。一度壊された自然は元に戻らない」
「27回も指導されて従わないって、もはや確信犯的な悪質業者でしょ」
「釧路の宝である湿原を金儲けの道具にするなんて許せない」
「国がもっと強い規制をかけるべき。地方自治体だけでは限界がある」
希少生物の生息地を脅かす開発
釧路湿原は日本最大の湿原で、タンチョウは釧路湿原を象徴する鳥で、国の特別天然記念物に指定されています。また、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の施行に伴い国内希少野生動植物種に指定され、環境省レッドリスト2020においては絶滅危惧II類(VU)に選定されています。
さらに深刻なのがキタサンショウウオは氷河期の生き残りと言われ、日本国内では釧路湿原を含めてごく限られた地域にしか生息していません。2020年3月に環境省レッドリストのカテゴリーが従来の"準絶滅危惧(NT)"から"絶滅危惧IB類(EN)"へと2段階引き上げられましたという状況です。
当該地は、釧路湿原国立公園の中でも特に学術的価値が高い"特別地域"に隣接し、特別地域と同様の植生自然度(環境省植生図で最高ランクの9もしくは10)となっていますという貴重な環境にもかかわらず、日本エコロジーは工事を強行しようとしています。
知事が異例の直接要請
この深刻な状況を受け、12月1日、石原宏高環境大臣のもとを訪れた鈴木直道北海道知事。直接出向いて訴えたのが、釧路湿原周辺で進むメガソーラー建設計画への国による対策強化でした。
知事は「法整備をとにかく早くしていただきたい。またそれが時間がかかるのでガイドラインというか実効性のあるものを早く作っていただく」と緊急要請しました。これに対し石原環境大臣は「地域と共生しない…景観とか災害のおそれのあるメガソーラーの開発は断固阻止していく」と明確な姿勢を示しました。
鈴木知事は「様々な法律を順守されていない。繰り返しの行政指導に従っていないという状況を考えると悪質性があると思っている」と事業者の姿勢を厳しく批判しています。
市長も強い不快感を表明
釧路市の鶴間秀典市長も「事業者に対して助言指導を重ねて参りましたが、理解されることが無く工事に着手するというようなことは他に例を見ない事案であり、極めて残念であるとしか言いようがない」と強い不快感を表明しています。
日本エコロジーは12ヵ所で12月から工事を再開する意向を示していますが、そのうち7ヵ所は絶滅危惧種「キタサンショウウオ」の生息域で、釧路市が11月、再調査を求めています。しかし同社は再調査要請に応じない姿勢を示しており、行政との対立は一層深刻化しています。
この問題は、再生可能エネルギー推進という国策と環境保護のバランス、そして法令を無視する悪質事業者への対応という課題を浮き彫りにしています。道は国の関係機関との連絡会議で森林法を含めた3つの法令の扱いを改正しました。改正後は、事業者への行政指導は3回までで、従わない場合は法に基づいた監督処分が行われますという対応強化が図られていますが、根本的な法整備が急務となっています。