2025-10-29 コメント投稿する ▼
クマ被害対策を閣僚会議に格上げ 過去最多11人死亡、30日初会合で緊急銃猟促進へ
クマによる人身被害が全国で深刻化していることを受け、政府は対応を強化することを決定しました。 木原稔官房長官は2025年10月29日の記者会見で、これまで関係省庁による連絡会議にとどまっていたクマ被害対策を、2025年10月30日に関係閣僚会議に格上げすると発表しました。 注目されているのが、狩猟免許を持つ自治体職員「ガバメントハンター」の確保です。
過去最多の死者11人、政府が対応格上げ
クマによる人身被害が全国で深刻化していることを受け、政府は対応を強化することを決定しました。木原稔官房長官は2025年10月29日の記者会見で、これまで関係省庁による連絡会議にとどまっていたクマ被害対策を、2025年10月30日に関係閣僚会議に格上げすると発表しました。環境省によると、2025年度のクマ被害による死者数は東北地方を中心に11人に上り、統計開始以来の過去最多となっています。
これまで連絡会議は警察庁、農林水産省、国土交通省、環境省、林野庁の5省庁で構成されていました。新たに防衛省、文部科学省、総務省が追加され、計8省庁体制になります。木原氏を議長とした新しい会議では、昨年取りまとめたクマ被害対策パッケージの見直しを早期に実施するよう関係閣僚に要請する予定です。
木原官房長官は会見で「クマによる被害が多様化、広域化しており、国民の安全・安心を脅かす深刻な事態だ」と危機感を表明し、「従来の対策パッケージでは想定し得なかった包括的かつ機動的な対応が求められている」と述べました。政府一体での支援態勢の構築を図る考えを強調しています。
緊急銃猟制度とガバメントハンターの課題
30日の会議では、市街地でのクマ駆除を可能にする「緊急銃猟制度」の利用促進が重要な議論になる見通しです。この制度は2024年9月から開始され、自治体の判断で委託を受けたハンターが人の日常生活圏に出没したクマを迅速に銃で駆除することができます。ただし、制度の実効性を高めるには、専門的知識を持つ人材の確保が不可欠です。
注目されているのが、狩猟免許を持つ自治体職員「ガバメントハンター」の確保です。長野県小諸市が全国で初めて導入した制度で、市の農林課職員が野生鳥獣の捕獲や個体数管理を担当しています。小諸市のガバメントハンターは、わなの設置場所の選定から個体の識別まで、一貫した対応が可能であり、捕獲までの流れがスムーズになるメリットがあります。
しかし、猟友会員の減少と高齢化が進む中、全国でガバメントハンターを確保することは簡単ではありません。石原宏高環境相は27日の記者会見で、捕獲や駆除を行う専門の自治体職員の確保支援が喫緊の課題だと述べています。
「クマ対策が政治の最優先事項になるべき。命がかかっている」
「緊急銃猟制度はいいけど、実際に使える人がいないのが現実。ガバメントハンターの養成急ぐべき」
「自衛隊派遣も話題になってるけど、本来は猟友会の活動をもっと支援するべきでは」
「山菜採りやキノコ狩りが好きだが、クマが怖くて今年は控えた。対策がきちんと機能していないと困る」
「過去最多の死者が出てるのに、これまで対応が遅すぎた。政府の危機感の欠如を感じる」
文部科学省と総務省の新たな役割
新たに参加する文部科学省は、クマに対応した学校内の安全管理や登下校の留意点をまとめ、全国の教育委員会に通知する方針です。北海道や秋田県、岩手県などクマ出没が多い地域の取り組み、例えば「ごみ集積所の鍵をかけ、ふたを閉める」といった対策を学校の防犯・防災マニュアルに盛り込むよう促します。
防衛省は秋田県からの自衛隊派遣要請を受けて、箱わなの設置や駆除した個体の処理などについて、自治体の支援ができる範囲を検討しています。ただし、法令上の制約があり、野生動物を銃器で駆除することは想定していないため、後方支援が主になる見通しです。総務省も地域住民の安全確保に向けた全国的な支援体制の構築に関わります。
対策パッケージの見直しと個体数管理
会議で議論される予定の具体的な対策には、以下が含まれます。まず、緊急銃猟の事例共有と制度利用促進により、市街地での迅速な対応を強化すること。次に、ガバメントハンターを含む人材確保による体制充実です。さらに、科学的データに基づく個体数管理の推進も重要な柱になります。
クマの生息分布が広範囲化している原因として、異常気象による木の実の不作と個体数の増加が指摘されています。北海道や岩手県など被害が甚大な自治体からの意見聴取も行われ、地域の実情に合わせた施策が検討されます。政府は2025年度補正予算案の活用や鳥獣保護管理法の改正についても視野に入れており、スピードと実効性を一層高めるため「総力を挙げて取り組んでいく」と強調しています。