2025-06-03 コメント投稿する ▼
住宅困窮対策に限界露呈 大門実紀史氏「公営住宅の計画的増設を」参院国交委で提言
住宅セーフティネットに機能不全の実態 民間頼みの限界が浮き彫りに
日本共産党の大門実紀史参院議員は6月3日、参議院国土交通委員会において、住宅困窮者支援における国の施策の限界を厳しく指摘し、公営住宅の計画的な増設を訴えた。
大門氏が問題提起の根拠としたのは、総務省行政評価局が今年3月に公表した「住宅セーフティネット制度」に関する調査報告。調査では、住宅困窮者向けに登録されている民間賃貸住宅が、実際には家賃が高く利用に適さない例が多く、ある自治体では「登録住宅を活用した例は全くない」と回答するなど、制度の実効性に疑問符がついた。
特に大門氏は、「単身高齢者などが住める低家賃の物件が登録住宅に存在していない」ことを問題視し、住宅セーフティネット制度が絵に描いた餅になっている現状を厳しく批判した。
「住まいは人権」 公営住宅こそ本来のセーフティネットと強調
大門氏は、国が進める住宅困窮者対策が基本的に民間住宅の活用に頼っていることに疑問を呈した。「家主には当然の立場があるし、市場の論理が働く以上、家賃は自由に設定される。民間頼みの制度では限界がある」として、根本的な構造の見直しを迫った。
そして、公営住宅の意義についても言及。「災害時には住宅を失った人々の緊急受け入れ先となるなど、民間には果たせない役割を担っている。にもかかわらず、公営住宅の戸数は減り続けているのが実態だ」と警鐘を鳴らした。
その上で「“住まいは人権”であるという立場から、国が責任をもって公営住宅を計画的に増やすべきだ」と主張し、住宅政策の根本的な転換を求めた。
国交相は慎重姿勢 「大量の増設は現実的でない」と限定的回答
大門氏の提言に対し、中野洋昌・国土交通相は「公営住宅ストックを大量に増やすことは現実的でないと考える自治体が多い」と述べるにとどまり、公営住宅の拡充については消極的な姿勢を示した。
この発言に対しては、「現実的でない」の一言で済ませるのではなく、なぜそう考える自治体が多いのか、国としてどう支援していくのかという視点が欠けているとの批判も上がっている。
地域ごとの課題も浮上 制度と現場のミスマッチ
住宅セーフティネット制度は2017年にスタートし、空き家や民間賃貸住宅を活用して住宅困窮者への支援を拡充する目的で整備された。しかし、制度が利用されない背景には、登録住宅の家賃水準や立地条件がそもそも困窮者に適していないこと、オーナー側の理解不足、行政の周知・連携不足など多岐にわたる課題がある。
とりわけ単身高齢者や障害者、生活保護受給者などが入居を断られる事例も少なくなく、差別や偏見が住宅アクセスを妨げている現実も根強い。
ネット上の反応
大門氏の提言に対して、SNSでも多くの共感の声や議論が広がっている。
「民間住宅に頼っても無理。やっぱり公営住宅を増やすしかない」
「“住まいは人権”って本当にその通り。家がなければ何も始まらない」
「行政が無理というなら、国が直接建てて供給してほしい」
「一部の大家の偏見で入居できないのが実態。民間だけでは限界あるよね」
「災害が起きたときに、困ってる人が頼れるのはやっぱり公営住宅だと思う」
住宅困窮は、単なる貧困の問題にとどまらず、雇用、健康、家族、教育とあらゆる分野に波及する社会的インフラの根幹である。目の前の制度の不備を補うだけでなく、構造的な改革と公的責任の再確認が今まさに問われている。