2025-05-22 コメント投稿する ▼
通報者保護を巡る混乱 消費者庁が全国自治体に是正通知、斎藤知事の発言が発端に
通報者保護を徹底へ 消費者庁が全国の自治体に異例の通知
公益通報者の保護を巡る議論が再燃している。消費者庁は5月22日、国の行政機関や全国の自治体に対し、公益通報者保護法に基づく通報者保護の徹底を求める通知を発出した。背景には、自治体首長の発言によって法の趣旨が誤って伝わることへの危機感がある。
通知では、公益通報を理由にした解雇や降格などの不利益な扱いを禁じることを改めて明記。さらに、通報の対象には内部通報に限らず、行政機関や報道機関への通報も含まれると強調した。これは、通報者の自由な意思表示を妨げないよう、より広い保護を確保するためのものだ。
兵庫県知事の発言が問題視 消費者庁が見解を示す
今回の通知のきっかけの一つとなったのが、兵庫県の斎藤元彦知事による発言だ。斎藤氏は、報道機関への内部告発を行った県職員に対し、調査や処分を実施したことが第三者委員会から法違反とされたにもかかわらず、「体制整備義務はあくまで内部通報に限る考え方もある」と述べた。この発言は、法の趣旨を著しく歪めるものとして問題視された。
消費者庁は4月上旬に兵庫県側へ「その解釈は公式見解と異なる」と明確に伝えたが、斎藤知事は「重く受け止める」と述べるにとどまり、明確な是正姿勢は示さなかった。
国会でも追及 法の趣旨を守る姿勢を問う
日本共産党の大門実紀史参院議員は、参議院本会議や特別委員会の場でこの問題を繰り返し取り上げた。大門氏は「法の意図を歪める発言を、知事という公的な立場の人間が繰り返すこと自体、深刻な問題」と指摘。さらに、「消費者庁だけでなく、大臣自身が誤りを明確にただすべきだ」と訴え、自治体に対する政府の毅然とした対応を強く求めた。
この指摘が契機となり、今回の全国通知が実現したとみられる。
自治体と企業に求められる意識改革
公益通報者保護法は2022年に改正され、より厳格な通報者保護が盛り込まれた。だが現場では、通報者に対する嫌がらせや処分が依然として起きており、制度と実態の乖離が問題となっている。
消費者庁は、今後各自治体における体制整備状況を調査し、結果を公表する方針だ。通報者が安心して声を上げられる環境を整えるには、法令順守はもちろんのこと、通報を敵視せず、組織改善につなげるという前向きな姿勢が不可欠だ。
ネットの反応
「斎藤知事、知事としての資格が問われる発言だろ」
「通報者が守られない社会に未来はない」
「企業でもまだまだ報復人事とか普通にあるし、もっと厳しく取り締まってほしい」
「通報=裏切りっていう価値観を変えないとダメだ」
「今回の消費者庁の対応は遅すぎるくらいだと思う」