2025-11-21 コメント投稿する ▼
堺市世界遺産気球観光、構想7年でついに離陸 予想超える1万人突破で上昇気流
当初計画の年間6万人を大幅に上回るペースで推移しており、気球事業の成功が堺市の観光振興に新たな風を吹き込んでいます。 市は万博からの誘客効果を狙い、会場内でQRコードを印刷した名刺型カードを配布するなど積極的な誘客活動を展開しており、気球事業もその重要な柱として位置づけられています。
気球事業は波乱万丈の道のり
この事業は2019年7月に「百舌鳥・古市古墳群」が世界文化遺産に登録されたことを受け、堺市が観光振興の目玉として計画したものです。しかし、運航開始までの道のりは決して平坦ではありませんでした。
新型コロナウイルスの感染拡大により住民説明会などが延期され、プロジェクトが一時停止しただけでなく、2023年5月の運航開始予定日の約2週間前にヘリウムガスの漏出が発覚し、使用予定だった気球メーカーが経営破綻に追い込まれるという深刻な事態に見舞われました。
このピンチを乗り越えるため、運行事業者のアドバンス株式会社がクラウドファンディングなどで資金を集めて別メーカーから気球を調達し、構想から6年以上を経てようやく運航開始にこぎつけたのです。
フランス製の最新気球で安全性を確保
新たに導入されたのは、フランスのエアロフィル社製「エアロ30」で、2024年のパリ五輪でも聖火台として使用された実績を持つ機体です。電気制御を用いず静電気による誤作動リスクを排除した構造で、可燃性のプロパンではなく軽量で燃えにくいヘリウムを使用しており、都市部での運行に適した仕様となっています。
気球は地上にケーブルで係留され、直径約23メートルのゴンドラで約100メートルの高さまで上昇し、1回につき約15人が搭乗して10分から13分程度のフライトを楽しめます。年中無休で午前10時から午後6時まで運航されています。
万博効果で観光振興に期待
大阪・関西万博の開催により、堺市は市内の宿泊費が前年同期比25億8千万円拡大するなど大きな経済波及効果を実現しています。市は万博からの誘客効果を狙い、会場内でQRコードを印刷した名刺型カードを配布するなど積極的な誘客活動を展開しており、気球事業もその重要な柱として位置づけられています。
堺市は万博期間中に市内で利用できる「SAKAI TICKET」として気球搭乗無料券の抽選を実施するなど、万博と連携した観光振興策を進めています。また、乗り場には観光案内所が開設され、市は南海堺駅から大仙公園までの無料シャトルバス運行も計画しており、今後さらなる観光客の増加が期待されています。
世界遺産観光の新たなスタンダード
地上からは見ることができない前方後円墳の鍵穴の形状を空から体感できるこの気球体験は、世界遺産の価値を理解し保全の機運を醸成していく上で非常に効果的とされています。都市部で観光用のガス気球を上げるのは国内では初めてという画期的な取り組みであり、世界遺産観光の新たなスタンダードとして注目を集めています。
料金は大人4200円、子ども3000円で、堺市民はそれぞれ2割引となっており、予約は利用日の10日前から可能ですが、すでに予約可能日はすべて完売状態という人気ぶりを示しています。永藤英機市長氏は「空から見る古墳群の価値は大きい。気球の人気を市内観光と結びつけていきたい」と意気込みを語っており、堺市の観光振興にとって大きな推進力となることが期待されています。