2025-08-07 コメント投稿する ▼
全国知事会新会長に長野県の阿部守一氏が就任へ 地方の声を国に届ける2年に注目
全国知事会長に長野・阿部守一知事が就任へ 政策連携の舵取りに期待と課題
知事会の新たな顔に阿部守一氏、26日に正式決定
全国の都道府県知事で構成される全国知事会は、2025年8月7日、新会長に長野県知事の阿部守一氏(63)が就任することを発表した。前任の村井嘉浩・宮城県知事の任期満了に伴う選出で、立候補が阿部氏一人のみだったため、選挙は行われなかった。正式な選出は8月26日の全国知事会議で行われ、任期は9月3日から2年間となる。
阿部氏は、かつて総務省で地方行政に関わった経歴を持ち、長野県副知事を経て2010年に知事初当選。現在4期目に入り、全国知事会ではこれまで副会長も務めてきた。
地方からの発信力が問われる時代に
阿部新会長が任期中に直面する課題は山積している。人口減少、災害対応、インフラ老朽化といった従来の課題に加え、近年はコロナ後の経済回復、地方自治体の財政再建、中央との関係再構築など、地方の存在意義そのものが問われる時代に入っている。
知事会は、政府に対して地方の立場から政策提言を行う場として、近年その役割が増している。例えばインボイス制度やマイナンバーカード普及、デジタル化対応など、地方行政に大きな影響を与える施策が次々と進む中で、現場の声をどこまで国に届けられるかが、会長の手腕にかかっている。
「知事会って結局、国に従ってるだけに見える」
「阿部知事は実直な人。でも遠慮しないで言うべきは言ってほしい」
「長野は災害も多いし、地方課題に向き合うには適任かも」
「インボイスや補助金のばらまきにも、ちゃんと意見出してほしい」
「知事会もそろそろ『国の出先機関』って言われないようにしてくれ」
こうした声に象徴されるように、知事会が「単なる会議体」で終わるのではなく、実効性ある連携組織としての自立が期待されている。
村井体制の功罪とバトンの行方
前任の村井嘉浩・宮城県知事は2023年9月に就任し、スポーツ大会の在り方や災害対応体制の見直しなどを提言した。特に「国民スポーツ大会(旧・国体)」の改革案は、都道府県によって賛否が分かれ、議論を呼んだ。
村井氏は7月28日、会長職を任期満了で退任する意向を表明しており、今回の阿部氏選出はある程度予測されていた流れでもある。阿部氏は村井体制を引き継ぎつつも、「地方の声の可視化」と「自治体間の連携強化」に重点を置く方針と見られる。
知事会は単なる調整役ではなく、時には国に対してノーを突きつける交渉力が求められる場でもある。会長の姿勢次第で、地方の政策が大きく左右されることもある。
注目されるのは「声をあげる力」と「調整力」
阿部新会長に対して、特に中小規模県からは「中央主導に振り回されるだけの知事会にはしてほしくない」との声が聞かれる。また、若手知事からは「地方創生や移住政策など、自治体ごとの挑戦を全国に共有する仕組みを作ってほしい」との要望も寄せられている。
例えば、補助金や交付金の配分基準が「人口」だけを基準にしていては、過疎地域や高齢化が進む地方の実情に合わない。地方に生きる人々の暮らしを実感として伝えられる存在であってこそ、知事会長の役割は生きる。
加えて、阿部氏は国の政策をただ「受け取る側」ではなく、「地方からの政策発信者」としても存在感を発揮することが求められている。
「地方の最後の砦」としての自覚が問われる
2025年現在、地方自治は新たな局面に入っている。災害対応や医療体制の強化、移民政策への懸念など、国の動きに疑問を持つ声は少なくない。そんな中で、住民の声を代弁し、現場の実態を国に届けるのが、まさに知事たちの役割であり、知事会長はその象徴的存在だ。
阿部氏のこれまでの政治姿勢は「堅実で誠実」とされる一方、強いメッセージを打ち出す場面は多くなかった。だが今後、財源問題や災害時の権限移譲、スパイ防止法への対応など、知事会が意見を集約し国に提言していくべき場面は多い。形式的な「まとめ役」ではなく、実質的な「代弁者」として動けるかが問われる。