2025-11-05 コメント投稿する ▼
陸自が秋田県鹿角市でクマ対策支援開始、箱わな移動など後方支援で市民安全確保へ
深刻化するクマ被害を受け、陸上自衛隊が11月5日から秋田県鹿角市でクマ対策の支援活動を開始しました。 防衛省関係者によると、自衛隊は箱わなの設置や見回り、ハンターが捕獲したクマの運搬などを担いますが、武器による駆除は行わない方針です。
クマ被害が全国で過去最悪の状況となる中、秋田県では2025年度に死者4人を含む50人以上が被害に遭い、県知事による自衛隊派遣要請という前例のない対応に発展しました。
鹿角市長「迅速な派遣に感謝」
午後1時半に鹿角市花輪の柴平地域活動センターで行われた派遣受け入れ式で、笹本真司市長は「県知事の派遣要請から1週間という迅速な派遣に感謝を伝えた。自衛隊側からは誠心誠意取り組むという言葉をもらった」と説明しました。
笹本市長は深刻な状況について語りました。「今年度の市内のクマ捕獲数は計290頭、10月だけでも100頭近い。市民は山に入らないと徹底しているが、クマは街中に出て背後から襲ってくるので、イベントの中止だけでなく、外に出ることもできない」と窮状を訴えました。
「もう怖くて外を歩けません」
「自衛隊が来てくれて本当に安心です」
「クマが街中まで出てくるなんて異常事態です」
「早く安心して生活できる日が戻ってほしい」
「子供たちの通学が心配で仕方ありません」
この後、隊員らは既に仕掛けてある箱わなの移動作業に出動しました。鹿角市十和田大湯地区のクリの木近くに設置していた箱わなを、猟友会メンバーや市職員らとともに10キロほど離れたリンゴ園近くに運搬・移設しました。
リンゴ農家「早く捕まえてほしい」
移設先のリンゴ園では赤い実がたわわに実っており、設置場所近くの農道にはクマの糞が点々と落ちていました。このリンゴ園を営む75歳の女性は「道を歩く姿をしょっちゅう見かけ、リンゴをずいぶん食われた。6月にはサクランボも食い荒らされた。自衛隊に助けてもらってありがたい。早く捕まえてほしい」と作業を見守っていました。
派遣された隊員15人のうち10人程度は柴平地域活動センターに泊まり込みで活動し、毎日午前7時から暗くなる午後4時まで、箱わなの運搬や設置手伝い、市内の地形状況の調査などを続けます。
自衛隊法100条に基づく「訓練」として実施
今回の支援活動は自衛隊法83条の災害派遣ではなく、同法100条に基づく「訓練」として実施されます。これにより、自衛隊は民生協力として自治体から輸送や防疫などの業務を受託することができます。
小泉進次郎防衛相は11月4日の閣議後記者会見で「防衛省、自衛隊としての準備はおおむね整った。5日以降、支援先の市町村の準備が整い次第、秋田県から示された地域で順次活動を開始する」と述べました。
防衛省関係者によると、自衛隊は箱わなの設置や見回り、ハンターが捕獲したクマの運搬などを担いますが、武器による駆除は行わない方針です。これは鳥獣駆除訓練をしておらずノウハウがないことに加え、自衛隊法などの法令上も任務として想定していないためです。
県知事の要請が実現
秋田県の鈴木健太知事は10月28日に防衛省を訪れ、小泉防衛相に「県と県内市町村、県警と力を合わせて駆除に努力してきたが、現場の疲弊はピークを迎えている」として自衛隊による支援を要望していました。
鈴木知事は元陸上自衛官という経歴もあり、現場の実情を熟知した上での要請でした。小泉防衛相は「危機的な事態に対し、与えられた能力と権限を最大限生かし、安心と安全を取り戻す」と前向きな姿勢を示していました。
鹿角市以外での活動については、市町村のニーズを踏まえて県と調整し、準備が整ったところから順次拡大する予定です。大館市や北秋田市などでも同様の支援が検討されています。
陸上自衛隊は過去に北海道や高知でシカの駆除に協力した実績があります。ヘリコプターで上空からシカの動きを把握して地上に伝えたり、雪原で駆除されたシカを雪上車で輸送したりしました。これらも「訓練」の一環として対応されています。