2026-03-02 コメント投稿する ▼
茨城県の不法就労通報報奨金制度に撤回要求、外国人人権法連絡会が密告助長と批判
茨城県が2026年度から導入する不法就労外国人の通報に対する報奨金制度について、外国人の人権問題に取り組む外国人人権法連絡会が2026年3月2日、「差別を助長し住民に密告させるシステム」として撤回を求める声明を県に送りました。3年連続で不法就労者数が全国最多という茨城県の深刻な実態を背景とした施策ですが、人権団体や識者からは強い批判の声が上がっています。
3年連続全国ワーストの茨城県
出入国在留管理庁によれば、2024年に全国で不法就労と認定された外国人は1万4453人でした。このうち茨城県で働いていたのは3452人で、全体の約24パーセントを占め、都道府県別では3年連続で最多となりました。多くが農業分野で従事しており、オーバーステイなど非正規滞在や就労許可のない外国人が含まれています。
茨城県は2026年2月18日に公表した2026年度当初予算案で、外国人材適正雇用促進事業として3700万円を計上しました。この中に通報報奨金制度の創設が盛り込まれています。制度の仕組みは、市民からインターネットで不法就労に関する情報を募り、県の担当者が調査して不法就労が疑われる場合は茨城県警察に連絡し、摘発につながれば情報提供者に報奨金を支払うというものです。
報奨金の額は1万円程度を想定しています。大井川和彦知事は2月18日の記者会見で「まじめにやっている外国人労働者まで不安に陥れるような、身もふたもないような話には絶対にならない」と述べ、慎重な運用を強調しました。
「報奨金で外国人狩りが始まりそうで怖い」
「不法就労撲滅は当然だけど、やり方が差別を助長する」
「真面目に働く外国人まで疑いの目で見られるのは問題」
「金欲しさに無実の外国人を通報する人が出てくる」
「密告社会になったら誰も信頼できなくなる」
人権団体が撤回を要求
外国人人権法連絡会は3月2日、茨城県に対し制度の撤回を求める声明を送りました。声明では、制度が「密告に公的なお墨付きを与える」と指摘し、「外国人が疑いのまなざしを向けられることは明白で、住民を分断し、人々の間の信頼を壊す」と批判しています。
さらに声明は、住民に奉仕すべき自治体が治安機関になることを問題視しました。外国人労働者の中には不当解雇やパワハラ、性的搾取から逃げ出して非正規滞在になる人もいると指摘し、一律に取り締まる姿勢には問題があるとしています。
人種差別問題に詳しい宮下萌弁護士も、外国人に対する偏見を県民に植え付け、差別を助長する恐れがあると指摘しました。国士舘大学の鈴木江理子教授も「市民が疑いの目で外国人を見るようになり、排外的な空気が社会に広がる」と懸念を示しています。
国の制度は実績ゼロ
実は出入国在留管理庁も同様の通報制度を持っています。市民が非正規滞在の就労者らを通報し、通報された人に退去強制令書が出た場合、5万円以下の報償金を交付する制度です。この制度は1951年の出入国管理令制定時に導入されましたが、2021年から2025年まで交付実績はゼロでした。
国の制度が活用されていない背景には、通報のハードルの高さや、密告を奨励することへの国民の抵抗感があると考えられます。茨城県が都道府県レベルで初めてこうした制度を導入することは、地域社会に大きな影響を与える可能性があります。
外国人労働者を取り巻く構造的問題
不法就労の問題は、外国人労働者個人の問題として片付けられるものではありません。農業や建設業などで深刻な人手不足に悩む事業者が、制度の隙間を突いて外国人を不法に雇用しているケースが多いのです。劣悪な労働環境や賃金未払いに耐えかねて逃げ出した技能実習生が、行き場を失って不法就労に陥るケースもあります。
本来であれば、こうした構造的な問題に取り組み、外国人労働者が適切な環境で働けるよう支援する施策が求められます。しかし通報報奨金制度は、問題の表面だけをすくい取ろうとする対症療法に過ぎません。
茨城県は現在、制度導入に向けパブリックコメントを受け付けています。県民からの意見を踏まえて最終的な制度設計が行われる予定ですが、人権団体や識者からの批判が相次ぐ中、制度の見直しを求める声は今後さらに強まる可能性があります。
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