2025-11-21 コメント: 1件 ▼
茨城県知事もパンダ外交混乱に懸念 高市首相発言で日中緊張、政治道具化への批判強まる
一方で、中国からパンダの貸与停止の可能性が浮上する現状を受け、専門家からはパンダを外交の道具にすることの限界を指摘する声が強まっている。 しかし、高市首相の台湾有事に関する「存立危機事態」答弁で中国が強く反発し、日中間の溝が深まっている現状に、大井川知事は困惑を隠せない状況だ。
パンダ誘致を推進する茨城県知事も外交緊張に困惑
茨城県は2025年4月に中国・陝西省との友好関係発展に関する覚書を締結し、日立市のかみね動物園へのパンダ誘致を本格化させてきた。大井川知事は4月19日に西安市で趙剛省長とともに覚書に調印し、パンダ保護などの分野で協力することで合意した。しかし、高市首相の台湾有事に関する「存立危機事態」答弁で中国が強く反発し、日中間の溝が深まっている現状に、大井川知事は困惑を隠せない状況だ。
大井川知事は記者会見で「こういう時だからこそ自治体をはじめ民間を中心とした草の根の交流や重層的な交流が極めて重要になる」と述べた一方、政府に対しては「日本外交はよりしたたかさと計算が必要だ。政府には冷静な判断と対応をしてほしい」と外交戦略の見直しを求めた。
SNS上では政府の外交姿勢を問題視する声が相次いだ。
「高市首相の発言で日中関係が悪化するのは明らかだった」
「茨城県のパンダ誘致の努力が水の泡になってしまう」
「地方自治体の交流まで巻き込むのはおかしい」
「外交は国民のために行うべきなのに、逆に迷惑をかけている」
「パンダ外交に振り回されるのはもううんざりだ」
中国「パンダ外交」の政治的意図が明確化
中国外務省は11月14日、日本への渡航を控えるよう自国民に呼び掛ける通知を出し、高市首相の台湾有事発言への報復措置とみられる対応を取った。さらに、中国・北京日報が「日中関係の緊張が続けば、日本へのパンダ貸し出しを停止する可能性がある」と報じ、外交問題とパンダ貸与が直結している実態が浮き彫りになった。
現在、日本国内のパンダは上野動物園の2頭のみで、来年2月の返還が決まっている。このまま新たな貸し出しが途絶えれば、日本は54年ぶりに「パンダゼロ」の状態になる可能性が現実味を帯びている。
パンダ外交は中国が1940年代から外交戦略として活用してきた手法で、1972年のニクソン大統領訪中の際にアメリカに贈られたのを皮切りに、同年の日中国交正常化を記念して日本にも2頭が贈呈された経緯がある。
経済効果と政治コストのジレンマ
上野動物園のシャオシャオ、レイレイの一般公開後1年間の経済波及効果は約308億円に上るとされ、地方自治体にとってパンダは重要な観光資源となっている。茨城県をはじめ仙台市など各地がパンダ誘致に名乗りを上げているのも、こうした経済効果への期待があるためだ。
しかし、相手国が中国に支払う金額は2頭で年100万ドルが相場で、飼育費も含めると年間数千万円規模の費用がかかる。さらに重要なのは、今回の事例が示すようにパンダの貸与や返還が政治的判断に左右される構造的問題だ。
専門家「パンダ政治利用からの脱却を」
東アジア国際政治の専門家は、パンダ外交の問題点を指摘する。「パンダの贈与や貸与、契約の延長、返還はその時その時の対中関係に左右される」とし、「政治的なコストをどう考えているのか」と疑問を呈している。
一方の中国は「1940年代から外交カードとして利用し続けてきた」歴史があり、「果たしてこれが国宝に対する扱いだろうか」との批判も出ている。
弁護士の見解では「『パンダを日本の動物園に貸与して欲しい』という気持ちは理解するが、それを条件に外交政策などで日本が中国に対して譲歩するようなことがあれば、それは外交の役割として本末転倒」と指摘している。
日中両国の政治的対立が文化交流にまで波及する現状を受け、パンダを外交の材料として使うことの是非があらためて問われている。自治体レベルでの地道な交流努力が政治的思惑に振り回される構図は、真の国際協力のあり方を考える上で重要な課題と言えるだろう。