2025-06-12 コメント投稿する ▼
年金実質1割削減でも「底上げ」と称する政府案に倉林氏が反対 スライド制度の限界露呈
年金1割減でも「底上げなし」 マクロ経済スライド温存に倉林氏が反発
12日、参議院厚生労働委員会で年金制度改定法案が自民党、立憲民主党、公明党の賛成多数で可決された。今回の法案は、物価や賃金の伸びより年金の伸び率を抑える「マクロ経済スライド」制度を温存したままの内容で、実質的には将来の年金水準を引き下げるもの。日本共産党の倉林明子議員はこれに強く反対し、「年金の底上げとは到底言えない」「実質的な1割カットだ」と厳しく批判した。
積立金活用の「底上げ」先送り 実態は年金削減
法案の審議に先立ち、衆議院では自民・立憲・公明の3党が共同で修正案を提出。その中では、年金積立金を活用して基礎年金を引き上げるかどうかの判断を、2029年の次回財政検証まで先送りする内容が盛り込まれていた。倉林氏は「これでは“底上げ”どころか、年金水準を下げる法案だ」とし、現役世代と高齢者世代の双方に長期的な不利益をもたらすと反対討論で述べた。
さらに倉林氏は、制度設計自体が「就職氷河期世代をはじめとする低年金・無年金層を切り捨てる構造になっている」と指摘。最低保障年金制度の導入を訴え、「生活を支える年金としての原点に立ち返るべきだ」と主張した。
政府は“5割賃上げ”と言いつつ給付抑制
質疑の中で倉林氏は、与党が参議院選挙公約で掲げた「2040年までに平均所得を5割増加させる」との報道にも言及。「所得を引き上げるつもりなら、なぜ年金を抑制し続けるのか」と疑問を呈した。
現在の制度では、物価や賃金が上昇しても年金はそれに連動せず、逆に調整される仕組みになっているため、実質的な“減額”が続く。このマクロ経済スライドによる給付調整は、2030年代後半まで続くとされ、倉林氏は「現実には年金が10%以上も減っていくのに、それを“改革”と称するのは欺瞞だ」と批判した。
「冷房すら使えない」生活実態と政策の乖離
倉林氏はまた、年金生活者の実情にも触れ、「年金暮らしの女性の約85%が月額10万円以下で生活している。クーラーを我慢し、医療もためらうような暮らしをしている人たちがいる」と訴えた。こうした状況に対して、石破茂首相は「年金だけで生活する方々が困窮していることは承知している」と応じたが、給付抑制策の見直しには踏み込まず、マクロ経済スライドの廃止には言及しなかった。
ネットでは「底上げ」の名に疑問相次ぐ
10年かけて年金が1割も下がるって、底上げじゃなくて底抜けでは?
立憲も賛成って何考えてるんだ?庶民の生活わかってるのか
クーラー我慢してる高齢者がいる時点で、もう異常な社会
最低保障年金って当たり前に必要な制度では?
働け働けって言いながら、老後は自己責任ってあまりに冷酷すぎる
現在の年金制度は、将来不安の大きな要因となっている。しかも、その不安は中高年だけでなく、若年層にも波及し、将来設計を困難にさせている。多くの国民が求めるのは、形ばかりの「改革」ではなく、実効性のある底上げだ。制度疲労を起こしたままのマクロ経済スライドを維持するのではなく、今こそ“人間らしい老後”を実現するための根本的な見直しが求められている。