2025-06-06 コメント投稿する ▼
倉林明子議員が院内保育士の処遇格差に警鐘 国立病院の“見えない労働”を国会で追及へ
「子どもたちに差別はさせない」倉林議員が声を上げる
6月6日、全日本国立医療労働組合(全医労)が衆院第2議員会館で開催した懇談会で、日本共産党の倉林明子副委員長が、国立病院の院内保育所で働く保育士の処遇改善と制度の見直しを強く訴えた。院内保育所に勤務する保育士たちの声に真摯に耳を傾けながら、「同じ資格、同じ業務内容でありながら、制度上の線引きで待遇に格差があるのは不合理かつ不公正」と語り、国会での追及を約束した。
「院内保育所で働く保育士の皆さんの声を、国会の場でしっかり届けたい」
「この問題は単なる処遇の話ではなく、公共性の本質が問われている」
倉林議員は、今回の懇談を通じて国立病院という“公共インフラ”の在り方に深い懸念を示し、政府や病院機構の姿勢を「保育の現場を現実から乖離させている」と批判した。
「民間委託で雇用不安」現場の実情に耳傾け
懇談の場では、保育士たちが直面する問題が次々と語られた。処遇改善手当の対象外、低賃金によるダブルワーク・トリプルワークの実態、そして何よりも民間委託による3年・5年ごとの雇用リセット。こうした働き方は、専門職としての保育士の尊厳を損なうばかりか、保育の継続性にも影を落とす。
倉林議員は、「委託先が変わるたびに初任給扱いになってしまうのは、常勤職としてのキャリア形成を否定するもの」と述べ、制度的な改正の必要性を強調した。あわせて、「雇用を支える仕組みに変えるべき。機構が責任をもって直営体制を検討すべき」と提言を述べた。
「同じ保育士でも、制度の違いで給与が2〜3割も違うなんておかしい」
「委託更新のたびに、ゼロから働き直すのは本当に辛い」
「正社員でもない、非正規でもない“あいまいな存在”にされている」
「私たちも、ちゃんと“人”として扱ってほしい」
「子どもたちにとっても、安定した保育者が必要なのに」
現場の声は一様に、制度と現実のギャップに対する怒りと諦めの中間にあった。
「厚労省の調査すら動いていない」倉林議員が政府の姿勢を批判
倉林議員は懇談の中で、「厚生労働省が昨年、保育士の賃金について調査・是正を検討すると答弁したにもかかわらず、未だに調査の進展がない」として、政府の対応を厳しく批判した。
この答弁は、昨年の国会で宮本徹前議員が引き出したものだが、それから約1年が経過しても、機構本部には調査に関する正式な連絡すら届いていないという。倉林議員はこの点を「明らかな行政の怠慢」と断じ、「調査の進捗をただちに公表し、保育士の声を反映した政策を形にしていく必要がある」と述べた。
「政府は“検討する”と言いながら、実質的に放置している」
「一番困っている人の声が、行政に届いていない現状は深刻だ」
倉林氏は懇談の最後に、「処遇改善は時間がかかる課題だが、今この時にも現場で苦しんでいる保育士がいる。声をあげ続け、国会でもこの問題を取り上げていく」と力を込めた。
公共の責任としての院内保育の再構築を
院内保育所は、医療従事者が安心して勤務できる環境を整えるための“縁の下の力持ち”だ。だがその現場で働く保育士たちが、制度の谷間で切り捨てられている。この問題を放置すれば、保育の質の低下や離職の連鎖が避けられない。
倉林明子議員は、「保育は子育て支援の根幹。ここで処遇差別を放置することは、保育士不足の慢性化につながる」として、厚労省・国立病院機構に対して早急な対応を求めた。
また、保育の「無償化」や「処遇改善」が政府の重要政策とされる中で、国立病院の保育士だけが取り残されている構造そのものが、公共政策の根底を揺るがす問題だという視点も忘れてはならない。
制度の見直しを求めて声を上げた保育士たち、そしてその声を受け止めた倉林明子議員の行動は、単なる“労働環境改善”にとどまらず、公的責任のあり方を社会に問うものだ。
政治の現場にその声が届くことで、“見えない労働”に光が当たり、真の保育支援政策へと歩みが進むことを期待したい。