2025-06-03 コメント投稿する ▼
障害者の暮らしの場が不足 倉林明子氏が家族介護の限界と施設整備の必要性を訴え
重度障害者の“転々生活”が浮き彫りに 家族介護では限界
日本共産党の倉林明子参院議員は、6月3日の参院厚生労働委員会で、障害者の暮らしの場の深刻な不足に警鐘を鳴らした。高齢化や人手不足によって自宅介護が限界に達している現状を踏まえ、「障害者本人が安心して暮らせる居住の場の整備が急務だ」と訴えた。
倉林氏が取り上げたのは、佛教大学の田中智子教授とNHKが共同で行った調査に基づく実例だ。そこでは、重度の知的障害を持つ女性が5つの施設をショートステイで移動し続け、年間275回もの施設間移動を余儀なくされていたことが明らかになった。7年間という長期にわたり「安定した生活の場」を持てず、常に不安定な生活を強いられていたという衝撃の事例だ。
また、同調査では全国の入所施設やグループホームの待機者数が2万2,000人に達するとも報告されている。倉林氏はこれを踏まえ、「国としてこの実態を正面から受け止め、実態調査に乗り出すべきだ」と強く主張した。
厚労相は調査を否定 待機者の声に背を向ける姿勢
しかし、福岡資麿厚生労働相の答弁は冷淡だった。「国として待機者数の調査を行うことは現時点では考えていない」と述べ、実態把握への取り組みに後ろ向きな姿勢を示した。
この回答に倉林氏は強く反発し、「現場では、施設削減や総量規制が進められているが、そもそも地域に選択肢が存在しない。障害者本人の意思も尊重されていない」と批判。「家族介護に過度に依存し、当事者の尊厳をないがしろにしている国の姿勢は見直されるべき」と迫った。
施設削減政策の転換を “支え合い”を可能にする社会資源を
現在、国は「地域移行」を推進する方針を掲げ、入所施設の削減と地域での支援体制の構築を進めている。しかしその一方で、地域のグループホームや受け入れ施設の整備が追いつかず、重度の障害者や高齢の家族に大きな負担がのしかかっているのが実情だ。
倉林氏は、「“地域生活”という言葉は聞こえは良いが、現場の社会資源が整っていない以上、現実は“放置”でしかない」とし、施設削減ありきの方針を撤回し、重層的な社会資源の整備こそが急務だと主張。「今こそ“住まい”“介護”“見守り”のすべてを支えられる仕組みを公的責任でつくるべきだ」と強く訴えた。
障害福祉現場の賃金格差にも言及 報酬改定を求める
また倉林氏は、障害福祉の現場で広がる賃金格差の是正についても言及した。介護や看護の分野と比べて障害福祉に従事する職員の処遇は依然として低く、離職率も高い。人材の確保と定着には処遇改善が不可欠だ。
この点についても「臨時報酬の速やかな改定が必要だ」とし、財源を確保して早急に対応するよう厚労省に求めた。
ネット上の反応
倉林氏の訴えに対して、SNSでは共感と危機感の声が広がっている。
「年間275回も施設を移動させられるって、もはや虐待じゃないか」
「“地域で支える”って言うけど、そもそも施設も人手もない」
「国が実態調査をしないって、どうかしてる」
「介護疲れで親が先に倒れる。限界なんてとっくに超えてるよ」
「こういうことにこそ予算を使ってほしい。人権の問題です」
社会全体で障害者を支える仕組みが不十分なまま、家族に過重な責任を押しつける構図は、もはや限界に達している。持続可能な社会の実現のためには、“暮らしの場”の保障という視点が、福祉政策の中心に据えられる必要がある。