2025-06-04 コメント投稿する ▼
「物価高に勝つ年金改革を」倉林明子氏が参院で迫る 最低保障年金や積立金活用を提案
倉林氏が年金引き上げを強く主張 物価高に負けない制度を求める
6月4日、参議院本会議で年金制度の改定をめぐる審議が始まった。焦点となったのは、年金額を抑制する「マクロ経済スライド」の継続を盛り込んだ国民年金法の改定案だ。この日の代表質問に立った日本共産党の倉林明子議員は、かつてない物価上昇のもとで生活が苦しくなっている高齢者の現状を訴え、「年金が今の物価に追いついていない」として、抜本的な引き上げを求めた。
倉林氏はまず、国民年金法に定められた「生活水準に著しい変化があった場合の措置義務」に触れ、「40年ぶりの異常な物価上昇は、まさにその条件に当てはまる」と指摘。現行の制度が高齢者の生活実態にまったく追いついていないと厳しく批判した。
「積立金を活用すれば年金引き上げは可能」
年金財政に余裕がないとされる中で、倉林氏は年金の底上げが可能であると具体策を示した。約200兆円にのぼる年金積立金の一部を年金給付に充てるよう提案し、「現役世代の負担に頼らず、今困っている高齢者の生活を支える道はある」と訴えた。
さらに、厚生年金保険料の上限を医療保険と同水準である年収2000万円にまで引き上げることや、短時間労働者の保険適用拡大を提案。「非正規で働く人や女性が損をする年金制度は、政治の怠慢が生んだものだ」と強調した。
最低保障年金の創設を強く要求
倉林氏は、女性の低年金問題についても取り上げた。非正規雇用や育児、介護などで十分な保険料を納められなかった女性が多く、年金額が非常に低い現実があるとして「これは制度の不備というより、政治がつくり出した格差の結果だ」と語った。
そのうえで、年金額が一定以下の人を支援する「最低保障年金制度」の創設を提案。「就職氷河期世代をはじめとして、低年金や無年金の人々に生きる安心を与える制度改革が求められている」と訴えた。
首相との温度差浮き彫りに
しかし、石破茂首相は「近年も年金額は適切に改定されてきた」と答えるにとどまり、マクロ経済スライドの即時停止には応じない姿勢を崩さなかった。「将来世代の年金水準を守るには現行制度が不可欠だ」とする首相の答弁に対し、倉林氏は「将来を守るために今を犠牲にしていいのか」と反論。両者の見解の深い隔たりが鮮明となった。
SNSでも賛否両論が広がる
SNS上では倉林氏の発言に共感する声も目立った。
「年金だけじゃ暮らせない。倉林さんの主張は現実を見ている」
「積立金を使うという視点、もっと議論されるべきでは?」
「最低保障年金は今の格差社会には必要」
「年収2000万円の保険料引き上げ案、実現すれば公平になる」
「マクロ経済スライドって、要は年金削減策でしょ?」
今後の審議に注目
今回の法案は、自民、立憲民主、公明の三党で修正合意がなされ、年金水準の底上げ措置については2029年の財政検証を踏まえて判断されることになっている。しかし、今困っている高齢者への即時対応が見送られたことで、倉林氏のように「待ったなしの課題」と位置づける立場との温度差が際立つ。
この国会審議が、高齢者の安心と将来世代の持続可能性をどう両立させるかの試金石になることは間違いない。