「兆円支援」ラピダス法案が可決 中小企業支援の後退・軍事転用の懸念も

2025-04-24 コメント投稿する

「兆円支援」ラピダス法案が可決 中小企業支援の後退・軍事転用の懸念も

ラピダス支援法案が参院委を通過 国民負担への懸念も


次世代半導体の量産を目指す「ラピダス」社をはじめとする先端半導体企業への巨額支援を柱とする法案が、4月24日、参議院の経済産業委員会で可決された。自民党や立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などが賛成し、日本共産党が反対した。法案は25日の本会議で成立する見通しだ。

ラピダスに兆円単位の支援 民間出資との差


政府はすでに、ラピダス社に対し最大1兆7200億円の支援を表明。新法により、政府は独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」を通じて資金を供給することが可能となる。さらに今後1000億円の追加出資も予定されている。

北海道千歳市で進む工場建設では、今月から試作ラインが始動し、2027年の量産開始を見込んでいる。ただし、岩渕友参院議員(共産党)は「トヨタなど大企業8社の出資はわずか73億円。国民の税金で5兆円規模を支える構図は、あまりにいびつ」と批判。「過去にエルピーダメモリが破綻し、公的資金277億円が戻らなかったことを忘れてはいけない」と訴えた。

中小企業予算からの転用に疑義


法案に対し、岩渕氏は中小企業支援が後回しにされていると強く反発。商工中金の政府保有株式の売却益や、ゼロゼロ融資に充てられるはずだった安定基金までが、今回の半導体支援に流用される仕組みになっていると指摘する。

「AIや半導体が重要なのは理解できるが、それを支える装置や素材産業こそが日本の強み。中小企業をないがしろにするような政策では、技術の底力を失ってしまう」と警鐘を鳴らした。

軍事転用への懸念も


ラピダス支援をめぐっては、製造される先端半導体が軍事目的に使われる懸念も拭いきれない。岩渕氏は、ラピダスの東哲郎会長が過去に「国防の領域」や「まずは米国に届ける」と発言したことを引き合いに出し、「平和憲法を掲げる日本が、意図せず軍事利用に加担する危険性もある」と訴えた。

審査過程の不透明さに批判


さらに岩渕氏は、2022年度に実施されたラピダスへの700億円支援について、外部有識者の名簿が非公開、審査資料の大半が黒塗りだったことを問題視。「これだけの税金を注ぎ込んでおいて、国民に説明しないのは論外だ」と経産省の姿勢をただした。

武藤容治経産相は「国民の理解を得ながら進めたい」と繰り返したが、具体的な改善策には踏み込まなかった。

支援強化の一方で、求められる説明責任


法案が成立すれば、ラピダスへの国費投入が本格化する。政府は法案と合わせて「経営状況などの国会報告」を求める付帯決議も採択しているが、それだけで納得する国民は少ないだろう。

中小企業への目配り、軍事利用への歯止め、そして何よりも透明性の確保。10兆円規模の国家プロジェクトが、信頼を得られるかどうかは、今後の説明責任にかかっている。

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2025-04-25 12:39:35(藤田)

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