2025-04-17 コメント投稿する ▼
ラピダス支援に疑問の声 参院で軍事利用と資金不透明性を追及
「巨額支援の行方は?」ラピダス法案審議で軍事利用や資金の透明性に懸念の声
半導体大手ラピダスなどに対し、政府が10兆円を超える公的支援を投じる法案を巡り、4月17日に参議院の経済産業委員会で参考人質疑が行われた。日本共産党の岩渕友参院議員は、企業支援の正当性や透明性、さらには軍事利用の可能性について厳しく追及した。
「大企業出資は“アリバイ”だったのか」設立時の経緯に疑問
ラピダスは、2022年に誕生したばかりの新興企業。ところがその設立直後に、700億円もの公的資金が投入されている。岩渕氏は、当時無名だったラピダスにこれほどの税金を投入することへの国民の理解を得るため、経産省がトヨタ自動車など大手8社に出資を促したのではないかという報道をもとに、小池淳義社長に説明を求めた。
小池氏は「経産省がそう言ったかは、正直よく覚えていない」と歯切れの悪い答えにとどまった。最終的に民間から集まった出資額は73億円。巨額支援の“お墨付き”として使われたのではという見方も根強い。
「7兆円必要」発言の根拠は?資金計画の曖昧さに批判
ラピダスが27年までに必要と見込む資金は7兆円――これは2021年、小池氏が自民党の半導体議連で語ったとされる数字だ。しかし、岩渕氏がその根拠をただすと、小池氏は「一般的な見積もり」とするだけで、具体的な説明はなかった。
また、量産ラインの立ち上げには3兆円が必要で、その半分は民間から調達したいという発言についても、「半分近く集めなければならないのは事実」とは認めつつ、調達方法については明言を避けた。
軍事転用の懸念「答えはノー」と言いながらも…
もう一つの焦点が、ラピダス製半導体の軍事利用だ。岩渕氏は、経産相が「現時点では軍事利用の予定はない」と答弁している点に触れ、「将来はあり得るのか」と問いかけた。
小池氏は「答えはノー」と断言したが、同社の東哲郎会長はかつて「重要な部分は国防の領域」と述べており、矛盾する印象は拭えない。岩渕氏がこれを指摘すると、小池氏は「詳しい事情はよく分からない」と述べ、議論はかみ合わなかった。
地元の不安と企業の責任
ラピダスの工場建設が進む北海道千歳市では、急激な地価高騰や、有機フッ素化合物(PFAS)による水質汚染への懸念も出ている。岩渕氏は、地域住民の不安に耳を傾け、慎重な対応を求めた。
また、出資企業の内部留保総額が73兆円に上ることに触れ、「なぜ国民の税金で支えるのか」と疑問を呈した。さらに、社長と会長以外の12人の個人株主の氏名が非公開である点についても「透明性が欠けている」と批判した。
- 10兆円超の公的資金投入をめぐるラピダス支援法案が審議中
- 岩渕議員が軍事利用の可能性と資金調達の根拠を追及
- 小池社長は明確な回答を避け、計画の不透明さが際立つ
- 地元住民からは環境や生活への影響に不安の声
- 政府と企業には、より丁寧な説明と情報公開が求められる
今後の審議では、国費投入の妥当性を巡る議論がさらに深まりそうだ。国民の理解と納得を得るためにも、ラピダスと政府には誠実な説明責任が問われている。