2025-06-08 コメント投稿する ▼
離島防衛を想定した陸自「富士総合火力演習」 東富士演習場で2千人が参加、国内最大規模の実弾訓練
実戦さながらの火力演習、今年も離島防衛を主眼に
陸上自衛隊は6月8日、静岡県の東富士演習場で国内最大規模の実弾射撃演習「富士総合火力演習(総火演)」を実施した。今年もシナリオは、近年の安全保障上の課題を反映し「離島への敵の侵攻を阻止し、反撃する」という内容。日本の周辺海域での緊張が続く中、離島防衛能力の向上を前面に押し出した構成となった。
演習には約2,000人の自衛隊員が参加し、戦車、火砲、装甲車両などを投入。昼と夜の2回にわたって実施され、総計76.6トンもの弾薬(約8億7千万円相当)が使用された。陸自によれば、この火力規模は過去最大級に近く、「本番を想定した緊張感ある演習」として位置づけられている。
観客は招かずも、教育関係者らを特別招待
総火演は例年、一般公開され2万人超の観客を動員する一大イベントとして知られてきた。しかし、新型コロナウイルスの影響により2020年以降は観客動員を見送り、今年も一般向けには非公開。代わりに陸自の公式YouTubeチャンネルで中継され、多くの国民がオンライン上で演習の模様を視聴した。
また、自衛官のリクルート活動の一環として、学校関係者などが特別に招かれた。教育現場での安全保障意識の啓発や、生徒に向けた自衛隊の実像の理解促進を図る狙いもある。
実戦力の誇示と対外的メッセージ 「抑止力の可視化」に
今回の火力演習は、単なる訓練にとどまらず、国内外への「抑止力の可視化」というメッセージ性も強い。とくに中国による海洋進出、台湾有事の緊張感、北朝鮮のミサイル発射といった周辺情勢を念頭に、日本の自衛隊が「国土を守る現実的な戦力を持っている」ことを示す意義は大きい。
昨今、南西諸島を中心とした離島防衛の強化は防衛省の重点政策の一つであり、今回の総火演もその流れに位置づけられる。演習の内容には、空挺降下や機動戦闘車による即応展開、無人機との連携も取り入れられ、近代化した作戦構想が色濃く反映されていた。
ネット上の反応
「離島防衛のリアルな訓練。こういうのはもっと広報すべき」
「オンライン中継でも迫力がすごかった」
「装備の近代化も進んでて安心した」
「総火演は実戦に近く、抑止力として重要」
「若い世代にも自衛隊の活動を知ってほしい。学校招待はいい取り組み」
富士総合火力演習は、自衛隊の実力を国内外に示す一大訓練であり、単なる見せ物ではない。離島防衛を中心とするシナリオは、今の日本が直面する安全保障課題と直結しており、そのリアリティは年々高まっている。国民の安全と主権を守るために、いかに現実的な備えが求められているか——その緊張感を改めて認識させる一日となった。