防衛省が米艦載機訓練を岩国基地で実施へ　硫黄島噴火で代替、住民負担に懸念

米艦載機訓練、岩国基地での実施へ

防衛省中国四国防衛局は12日、米軍の空母艦載機による陸上離着陸訓練を、17日から山口県岩国市の米軍岩国基地で実施すると市に申し入れる方針を明らかにした。本来は東京都小笠原諸島の硫黄島で行う予定だったが、島周辺で噴火が確認され、訓練に影響が出るための変更措置だと説明している。

艦載機の陸上離着陸訓練（Field Carrier Landing Practice＝FCLP）は、空母への発着艦に必要な操縦技術を維持するために欠かせないとされる。訓練は通常、住民への騒音影響が比較的少ない硫黄島で実施されてきたが、今回は自然災害による代替措置として人口密集地に近い岩国基地が選ばれた。

「なぜまた岩国でやるのか、住民は不安だ」
「硫黄島が使えないのは理解できるが、騒音の影響を軽視している」
「防衛上必要なのかもしれないが、説明が不十分だ」
「訓練を受け入れるなら、住民生活への補償を明確にしてほしい」
「国は地元を軽視しているのではないか」

訓練の背景と必要性

米軍の艦載機パイロットは、空母に安全に発着するため、陸上での事前訓練を反復して行う必要がある。訓練が不十分であれば事故の危険が高まるため、安全保障上の観点からも不可欠とされる。日本政府としても日米安保体制の維持のため、訓練環境を確保する必要がある。

しかし、訓練が行われるたびに住民からの騒音苦情が相次ぎ、基地周辺の生活環境に大きな影響を及ぼしてきた。特に岩国市は、空母艦載機部隊の移駐以降、騒音問題が深刻化している地域であり、今回の訓練実施には強い懸念が出ている。

住民への影響と地域の反発

岩国市は基地依存度が高い一方で、住民生活との摩擦が続いてきた。今回の訓練実施申し入れにあたり、市は国に対して詳細な説明と住民への丁寧な対応を求めるとみられる。地元では「安全保障のために地方が犠牲にされている」との声が根強い。

防衛省はこれまでも「可能な限り硫黄島で実施する」と説明してきたが、代替地が岩国となるケースは少なくない。こうした繰り返しは、国と住民の信頼関係を損なう恐れがある。

安全保障と住民生活のはざまで

今回の措置は自然災害に伴うやむを得ない変更であるとはいえ、住民にとっては日常生活に直結する問題である。安全保障と住民生活の両立をどう図るのかは、今後も大きな課題となる。騒音対策や補償、訓練の透明性向上など、政府が具体策を提示できるかどうかが問われている。

岩国基地での艦載機訓練　安全保障と地域負担の両立が焦点

防衛省が岩国基地での米艦載機訓練実施を申し入れる方針を示したことで、改めて地域住民の不安と国の安全保障政策の狭間が浮き彫りとなった。自然災害による代替措置という事情を超えて、今後も繰り返される可能性を考慮すれば、国はより丁寧な説明責任を果たすとともに、地域負担を軽減する実効性ある対策を示す必要がある。