2025-07-04 コメント投稿する ▼
政府がラピダスに「黄金株」保有方針 2nm半導体と1千億円支援の舞台裏で交錯する技術と国家の思惑
半導体の命運を握るラピダス支援、政府が“拒否権”を明言
経済産業省は7月4日、次世代半導体の量産を担う中核企業・ラピダスへの出資支援にあたり、いわゆる「黄金株(ゴールデンシェア)」の政府保有を条件とする方針を明らかにした。黄金株とは、重要な経営判断に対して特別な拒否権を持つ株式のことであり、通常の株主権とは異なる性質を持つ。今回の方針は、技術流出を防ぐために、政府が経営に一定の歯止めをかける狙いがあるとされる。
経産省が主導するこの方針は、4月に成立した改正情報処理促進法に基づくもので、同日に開かれた次世代半導体に関する有識者会議で了承された。政府は、ラピダスが条件を満たすことを前提に、今年後半にも1,000億円規模の出資を予定している。
「国が拒否権もつのは当然。技術は安全保障の一部」
「民間に丸投げして失敗した過去、繰り返すなよ」
「出資するなら監視もセット、当たり前でしょ」
「中国に抜かれるくらいなら国が口出してくれ」
「技術流出させたらもう立ち直れない」
ラピダスに課される高いハードル、「2nm量産」が現実味を持つか
黄金株の保有と引き換えに、政府はラピダスに対して複数の厳格な条件を課している。特に注目されるのは、世界でもまだ商用化されていない回路線幅2ナノメートル以下の先端半導体を、2020年代後半に国内で量産開始するという高い目標だ。
さらに、政府出資だけに頼らず、民間からの資金調達も求めるなど、国家的プロジェクトでありながら、市場原理と競争力を無視しない設計となっている。支援と規律のバランスを取る姿勢がうかがえるが、その実現性には依然として不透明な部分が多い。
安全保障と産業政策の交差点、「技術を守る盾」としての黄金株
近年、半導体は単なる産業基盤ではなく、軍事・情報・経済安全保障の中核をなす戦略物資とされている。米中間の技術摩擦、台湾有事への懸念、そしてサプライチェーンの分断リスクといった要素が、日本の半導体政策にも重くのしかかる中、今回の黄金株の方針は、その象徴的な対応といえる。
過去、日本は半導体産業の衰退を経験し、世界の最先端から大きく後れを取った。今回のラピダスへの公的関与は、「もう二度と敗けられない」という政府の強い危機感の表れでもある。
特に技術流出に関しては、かつて日本企業の技術が海外に流れ、国家的損失につながった事例もあるだけに、国が経営判断に拒否権を持つ形で歯止めをかけるのは、安全保障の観点から見ても極めて重要な布石となる。
ラピダス支援と“減税なき負担”、国民の納得得られるか
一方で、国が1千億円もの税金を出資しつつ、企業の成否は依然として不確定という状況に対しては、国民の間に懐疑的な視線もある。技術支援に公的資金を投入するならば、それがどのように国民生活に返ってくるのか、政府は丁寧な説明責任を果たすべきだ。
加えて、国内では「減税こそが最大の経済対策」との声も強まっているなかで、大企業への巨額出資ばかりが優先される姿勢には違和感もある。税金の使途に対する透明性や成果のフィードバックがなければ、支援への信頼は長続きしない。
技術を守ることと、納税者の信頼を守ること。その両立こそが、今後のラピダス支援における最大の課題と言えるだろう。