2026-03-02 コメント投稿する ▼
特別市実現へシンポジウム開催 福田紀彦川崎市長ら人口減少時代の大都市役割議論
政令指定都市を道府県から独立させる特別自治市、通称特別市の実現を目指す指定都市市長会は2026年3月2日、東京都内で地方制度の未来について理解を深めるシンポジウムを開催しました。 人口減少が加速する時代に市町村が住民サービスの提供を続けるため、現状の課題や大都市の役割、必要な制度について、同会副会長の福田紀彦川崎市長らが議論しています。
第1部では福田氏が、地方公務員を巡る将来の推測など課題の共有と指定都市市長会のこれまでの取り組みを紹介しました。第2部では「持続可能な社会の実現に向け、いま何が必要か」をテーマに、同会会長の久元喜造神戸市長や古川直季内閣府政務官らが意見を出し合っています。
特別市とは道府県から独立した新制度
特別自治市、通称特別市とは、政令指定都市を道府県から独立させる大都市制度の構想です。2010年5月に相模原市内のホテルで開催された指定都市長会議において、指定都市市長会が初めて提案したものです。
政令指定都市が独立し、市域の県税を全て市税に移管し、現在は県が担っている業務も移すことを提言しています。指定都市市長会では住民がより良い行政サービスを受けるためには近接性の原則と補完性原理に基づき住民に最も身近な基礎自治体を中心とした地域主権改革を進めることが必要と考えています。
現行の政令指定都市制度を抜本的に見直し、大都市が住民に身近な施策の責任を果たしつつ圏域の水平連携の核となるとともに、日本を牽引するエンジンとなるための選択肢として、大都市が一元的かつ総合的に行政サービスを提供できるように事務権限とその役割に見合う自主財源を制度的に保障する新たな大都市制度として提案されました。
「特別市って要するに県から独立するってこと?」
「二重行政の解消は確かに必要だと思う」
「でも県と市の調整はどうなるんだろう」
「人口減少時代には効率化が必要だよね」
「財源の奪い合いにならないか心配」
二重行政の解消が最大の目的
現在の政令指定都市制度では、都道府県と市町村という二層制を前提としており、事務と財源のアンバランスや二重行政の問題が指摘されています。指定都市市長会では制度の見直しを要望しており、更なる強化検討が必要としています。
特別市は基礎自治体をベースとし道府県の区域外となる新たな一層制の地方自治体を設け、二重行政を解消することを目指しています。第30次地方制度調査会で意義が認められましたが、検討にあたり課題が示されており、対応策の提示とこれに沿った対応が必要です。
2010年12月24日に都内で開かれた指定都市市長会議で大都市制度検討部会が、都道府県から警察権限を移譲し特別自治市警察の設置を政府に求めていくことを提案しました。同部会の報告によると、特別自治市警察は市域内のすべての警察権限を持ち、警察署や交番などを管轄します。
警察権限移譲のメリットとして、市の施策と線引きが難しかったり密接に関わる業務を一元的に取り組め、道路管理者である市が交通管理権限も一元的に執行することでまちづくりの観点から総合的な道路政策を展開できるといった点を上げています。
人口減少時代の持続可能な行政サービス
人口減少が加速する時代において、市町村が住民サービスの提供を続けるためには、現状の課題を明確にし、大都市の役割を再定義する必要があります。頻発する大規模災害や新型コロナウイルス感染症への対応など、多様化し複雑化する行政課題には二層制を前提とする指定都市制度では十分に対応しきれません。
指定都市市長会は特別市などの多様な大都市制度の早期実現を目指しており、2025年12月には「多様な大都市制度実現プロジェクト報告書」を総務省に提出し、各政党に対しても説明及び要請を行っています。
福田紀彦川崎市長は川崎市公式サイトで「特別市の実現に向け全力で取り組みます」と表明しています。川崎市は1972年に政令指定都市に移行し、2024年には市制100周年の記念すべき節目を迎えました。一方で、指定都市制度は制度創設からすでに65年以上が経過しており、都道府県と市町村という二層制を前提とする基本的な地方自治制度の枠組みは変わっていません。
特別市は一層制であることから、道府県が有する包括する市町村の連絡調整機能や補完機能は有しませんが、圏域において他の基礎自治体との連携の中心的な役割を担います。指定都市市長会では特別市の法制化を目指して、周知用ポスターやチラシを作成するなど、広報活動も積極的に行っています。
今回のシンポジウムでは、こうした特別市の意義や必要性について、市民や関係者の理解を深めることを目的としています。人口減少時代において持続可能な社会を実現するためには、大都市が果たすべき役割を明確にし、それに見合う権限と財源を確保することが不可欠です。指定都市市長会は今後も特別市の早期実現に向けて、国や各政党への働きかけを続けていく方針です。