2025-06-12 コメント: 1件 ▼
介護福祉士「不合格でも資格取得」特例制度に賛否、外国人8000人超に適用の現実とは
外国人に特例で介護福祉士資格、8,000人超が不合格で取得
介護福祉士の国家資格に関する「特例措置」が、2017年度以降、外国人を中心に8,000人以上に適用されていることが明らかになった。これは国家試験に不合格であっても、養成施設を卒業すれば介護福祉士として登録できるという制度だ。導入の背景には、深刻な人手不足と、外国人労働者の受け入れ拡大がある。
しかしこの特例制度を巡っては、「人手確保のためには必要」とする肯定的な声がある一方、「国家資格の信頼性が揺らぐ」として反対する意見も多く、今後の継続について議論が活発化している。
国家資格が「不合格でもOK」?広がる制度への懸念
介護福祉士は、かつては養成施設の卒業だけで資格を取得できたが、2017年度からは法改正により国家試験の合格が義務付けられた。その際に導入されたのが、「不合格者への特例措置」だ。これは、卒業後に国家試験に落ちても、5年間現場で就業を継続すれば正式な介護福祉士として登録されるというものだ。
この制度により、2024年度までに8,033人が特例によって資格を得ており、その多くが外国人留学生だ。2023年度までに養成施設を卒業した外国人留学生8,346人のうち、国家試験に合格したのは3,284人にとどまり、5,000人以上が試験不合格にもかかわらず制度により介護福祉士となっている。
現場の声:人手不足と「質の担保」のはざまで
介護業界では深刻な人材不足が続いており、とくに外国人労働者の受け入れは現場維持の“命綱”とされる。特例制度により即戦力が確保できるという声も多い。一方、試験に合格できない者が「国家資格」を名乗ることに対し、医療や福祉の現場からは疑念も漏れる。
とりわけ「資格の質の低下」「利用者への安全性の不安」「日本語理解の乏しい人材への依存」といった懸念は根強い。制度延長はすでに2026年度卒業者まで拡大されたが、政府や教育現場では「実質的な無試験化だ」との批判も強まっている。
「合格してない人が“国家資格持ち”として扱われるのはおかしい」
「介護の現場は命を預かる仕事。特例でいいの?」
「人手不足が理由なら、他にやるべき制度改革があるだろ」
「外国人ありきの制度じゃなくて、日本人の参入を後押しすべき」
「言葉の壁があるのに、無理に現場に入れたら事故のもとになる」
「介護崩壊」を防ぐには構造改革が不可欠
本来、国家資格は知識と技術の水準を保証するものであり、「特例」によってその信頼性が損なわれることは、結果的に制度全体の崩壊を招きかねない。現場の負担軽減や待遇改善、試験制度の見直しといった抜本的な改革こそが急務であるはずだ。
外国人頼みの労働政策は一時的には穴埋めになっても、長期的に見れば「質」の劣化と制度疲弊を招く恐れがある。今、問われているのは、量より質を重視した介護体制への転換だ。外国人を排除するという議論ではなく、介護という仕事の価値と安全性をいかに守るかという本質に、政策の焦点を戻すべきだろう。
安易な特例制度の延長ではなく、国家資格の原点に立ち返り、教育・試験制度の強化と現場環境の改善を同時に進める構造的な改革こそが必要だ。その中には、減税による人材確保策や、適切な日本語教育支援の拡充、介護報酬の見直しなども含まれるべきである。