2025-09-26 コメント投稿する ▼
外国人技能実習と特定技能で過去最多違反 安価労働力依存が日本人賃上げ政策と矛盾
人手不足の即戦力とされる「特定技能」の外国人労働者を受け入れる事業所でも4395カ所に違反があり、制度の根幹を揺るがす数字となりました。 技能実習制度は国際貢献を掲げて始まりましたが、実態は低賃金労働者の確保手段になっているとの批判が続いてきました。 人手不足を背景に外国人労働力への依存は進んでいますが、その結果、日本人労働者の賃金引き上げ圧力が弱まりやすいという指摘があります。
外国人技能実習と特定技能で過去最多の法令違反
厚生労働省は2024年の立ち入り調査結果を発表し、外国人技能実習生を雇用する事業所で法令違反が確認された件数が8310カ所に達し、過去最多となったことを明らかにしました。人手不足の即戦力とされる「特定技能」の外国人労働者を受け入れる事業所でも4395カ所に違反があり、制度の根幹を揺るがす数字となりました。いずれも安全対策の不足や賃金不払いが目立ち、制度の矛盾が浮き彫りになっています。
技能実習制度は国際貢献を掲げて始まりましたが、実態は低賃金労働者の確保手段になっているとの批判が続いてきました。今回の調査結果は、その構造的欠陥を裏付ける形となっています。
違反の実態と具体的事例
技能実習関連では労働安全衛生法違反が2837件で最多、割増賃金の不払いが1774件で続きました。特定技能でも同様の傾向で、安全衛生上の違反が1378件に上っています。具体例として、食品工場では安全装置の点検を怠り、外国人労働者が機械で指を切断する事故が発生しました。ホテルでは休憩時間に働かせたうえ、一部賃金を支払わない事例も確認されています。
厚労省は「安全衛生の確保に重点的に取り組む」と説明していますが、違反が常態化していることを踏まえれば単なる監督強化では根本的な解決には至りません。
「技能実習は学びではなく安価な労働力の受け入れに変質している」
「人手不足の穴埋めを外国人任せにしては日本人の賃上げは進まない」
「本来は日本人雇用の条件改善が優先されるべきだ」
「違反が繰り返されるのは制度自体が歪んでいるからだ」
「技能実習も特定技能も早急な修正が必要だ」
日本人の賃金政策との矛盾
2024年末時点で技能実習生は約45万人、特定技能は約28万人に達しています。人手不足を背景に外国人労働力への依存は進んでいますが、その結果、日本人労働者の賃金引き上げ圧力が弱まりやすいという指摘があります。企業にとっては低賃金で雇える外国人が存在すれば、人件費増加を抑える動機が働き、国内の賃金改善が後回しになる構図です。
賃金上昇を目指す政策と安価な労働力の輸入は明確に矛盾しています。外国人の労働環境改善と並行して、日本人の処遇改善を後押しする制度設計に改めなければ、双方にとって不利益をもたらします。
制度改革を急ぐべき局面
技能実習と特定技能は「即戦力」として日本経済を支えてきましたが、制度の理念と実態の乖離が限界に達していることが今回の調査で浮き彫りになりました。違反を繰り返す仕組みを温存したままでは、日本人労働者の賃金政策とも整合しません。制度を存続させるか廃止するかにかかわらず、早急な修正が求められます。
外国人労働者を守りつつ、日本人の賃上げを妨げない仕組みを整えることが不可欠です。安価な労働力に依存する体質を改め、真に持続可能な労働政策へ転換することが求められています。