2025-05-29 コメント投稿する ▼
千葉市とキッチンカー組合が炊き出し協定締結 災害時に温かい食事で被災者支援を強化
非常時に“走る台所” 200台超のキッチンカーが避難所へ
千葉市と「千葉キッチンカー協同組合」が災害時の炊き出し協定を締結した。市内で営業する約200のキッチンカーが加盟する同組合は、大規模災害が発生した際に市の要請を受けて、公民館や学校などの指定避難所に出動し、被災者に温かい食事を提供する体制を整えた。
市の説明によると、避難者が長期にわたり不便な生活を強いられる事態を想定し、カレーライス、豚汁、焼きそば、丼ものなどを無料で配布する。食材費は市が負担し、迅速な炊き出し活動が可能になるよう、協定により事前の役割分担や連絡手順も明確化された。
「避難所の冷たい弁当より、温かい食事がどれほど心に沁みるか…」
「“おいしい”って思えるだけで、希望が湧くよね」
能登地震でも活躍 キッチンカーの可能性に期待
この取り組みは、昨年の能登半島地震で全国各地のキッチンカーが炊き出し支援を行った成功例に基づいている。締結式に出席した千葉市の神谷俊一市長は「能登の災害でもキッチンカーが大きな力になった。今回の協定は、千葉市が“災害に強い街”へと進む一歩になる」と語った。
避難所での食事は、保存食や冷たいおにぎりが中心となりがちで、温かい食事を口にすることができる機会は限られている。そんな中、プロの調理人が目の前で作るできたての料理は、身体を温めるだけでなく、被災者の精神的な支えにもなっている。
「能登で豚汁をもらったとき、涙出た。体だけじゃなく心も温まった」
「コンビニ弁当じゃ心折れる。炊き出しこそ本当の支援だと思う」
行政と民間が連携する「食の防災」モデル
今回の協定は、行政と民間が防災の分野で協力する新たなモデルとしても注目されている。キッチンカーは移動性に優れ、ガス・水道が止まった被災地でも自前の設備で調理できる機動力がある。これを活かすには、日頃からの訓練と連携が不可欠だ。
組合の伊藤正信代表理事は「協定があることで、発災時も迅速かつ組織的に行動できる。全組合員が“いざというとき”の覚悟を持っている」と語り、日頃から災害対応を意識した活動に取り組んでいることを明かした。
この動きは千葉市にとどまらず、他自治体への波及も期待される。非常時の対応を行政だけに任せるのではなく、地域の事業者が役割を担うことで、「支援が届く」スピードと質が格段に向上する。
「行政だけで回らない部分を民間が支えるの、すごくいい」
「こういう協定が全国に広がれば、被災者支援の質が変わると思う」
「温かい食事は癒やし」災害時こそ人の心に寄り添う支援を
被災地支援というと、物資やインフラ復旧ばかりが注目されがちだが、避難所での生活において最も身近で、最も心を支えるのが「食事」だ。日常の延長にあるような食卓が一瞬でも戻ってくることで、被災者の心が落ち着く。これは支援物資では決して代替できない。
千葉市とキッチンカー組合が結んだ協定は、まさに“命をつなぐ食”と“心を支える食”の両面を意識したものだ。災害が頻発する日本において、こうした「人間の尊厳に寄り添う支援」は今後ますます重要になる。
協定という事前の取り決めがあるからこそ、発災時に混乱なく食の支援が実現する。その一歩を踏み出した千葉市の取り組みは、災害列島に暮らす私たち一人ひとりにとって、他人事ではない。