2025-08-02 コメント投稿する ▼
山添拓氏「歴史の事実を踏まえるべき」関東大震災・朝鮮人虐殺めぐり小池都知事に追悼文不送付を批判
9年連続で追悼文を送らず 小池都知事の対応に批判の声
東京都の小池百合子知事が、1923年の関東大震災時に発生した朝鮮人虐殺を悼む追悼式典に対して、今年も追悼文を送らない方針を表明したことに対し、共産党の山添拓政策委員長が批判の声を上げた。
山添氏は自身のXで、「小池都知事は今年も、関東大震災に乗じて虐殺された朝鮮人らへの追悼文を送らない意向だという。これまで『全ての犠牲者に哀悼の意を表す』とし、虐殺の有無は『さまざまな研究がある』とごまかしてきた。歴史の事実を踏まえるべきだ」と指摘した。
小池氏は2016年に初当選した年には追悼文を送ったものの、2017年からは一貫して送付を見送っており、今年で9年連続となる。1日の会見では、「震災による極度の混乱の下で犠牲となったすべての方々に哀悼の意を示している」と述べ、個別の追悼には触れなかった。
「井戸に毒」「略奪」…震災時に広がったデマと惨劇
関東大震災直後の東京や神奈川では、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「放火・略奪をしている」といった流言が広まり、それをきっかけに自警団や軍隊による暴力が加えられ、多くの朝鮮人が命を落とした。近年の研究でも、「虐殺は事実として存在した」とする学術的な検証が多数なされており、国内外の人権団体からも毎年、適切な対応が求められている。
都内では日朝協会東京都連合会などが主催する追悼式典が、毎年9月1日に東京都立横網町公園内で開かれている。石原慎太郎元知事やその前任者ら歴代の都知事は、一定の配慮を示す形で追悼文を寄せてきたが、小池氏は2017年以降、これを見送ってきた。
山添氏「歴史の否認ではなく、正視を」
山添氏はこれまでも繰り返し「関東大震災時の虐殺については事実に基づいた追悼と教育が必要だ」と訴えてきた。今回の投稿でも、「歴史をなかったことにするような姿勢は、社会の分断や差別感情を助長しかねない」との懸念をにじませている。
とくに、都のトップとして「記憶の継承」に関わる責任を持つ都知事の姿勢は、国内外で注目を集めやすく、小池氏の対応は毎年賛否両論を呼んでいる。
一方で小池氏は、「大法要で全犠牲者を慰霊する形をとっている」と強調しており、「特定の集団を特別に扱うことが適切か」という立場から、あえて追悼文の送付を避けているともとれる。だが、この「総体としての慰霊」が個別の加害責任や差別の事実を曖昧にしてしまう危険性も指摘されている。
有権者・市民の声
「過去を直視しない姿勢が、差別を温存してるように見える」
「歴代都知事が送ってきた追悼文、やめた理由が説明不足すぎる」
「事実を認めた上で、二度と繰り返さないという姿勢が必要」
「政治的に利用してるように見られるのが一番よくない」
「山添さんの発言は正論だと思う。都知事は説明責任を果たすべき」
「過去」と向き合う姿勢が政治家の責任
災害による犠牲者への慰霊にとどまらず、その中で生じた差別や暴力の歴史にどこまで向き合うかは、政治家の姿勢が問われる領域だ。とくに公職にある者は、「誰を悼み、どう言葉を尽くすか」によって、社会の方向性を暗黙に示すことになる。
山添氏の訴えは、歴史の認識を「曖昧にしない」という原則を政治に求める声とも重なる。災害からちょうど100年を迎える節目にあたり、単なる儀式的な慰霊ではなく、加害・被害の構造を正しく継承する責任が問われている。