2025-06-13 コメント投稿する ▼
山添拓氏「賃上げの中身がない」 骨太方針を批判、減税回避と医療切り捨てに警鐘
「たゆまぬ努力」では暮らし守れず 中小企業の現場無視と山添氏が批判
政府が6月13日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針)」について、日本共産党の山添拓政策委員長が同日、国会内で記者会見を行い、「緊急の課題である物価高騰への対応が見えず、暮らしの痛みを増す方針だ」と厳しく批判した。
同方針では「減税より賃上げ」が柱とされ、最低賃金を1500円に引き上げ、2040年までに国民の所得を1.5倍にするといった目標が掲げられている。しかし山添氏は、「方針には具体策が全く示されていない。『たゆまぬ努力を続ける』という抽象的表現に終始し、実行性に乏しい」と指摘。とりわけ日本の雇用の7割を支える中小企業について、「賃上げの原資も支援策も見えない中で、単なる精神論では労働者の生活は守れない」と訴えた。
「具体策なき“1500円”はただの目くらましにすぎない」
「経済政策の基本は、現場を動かす仕組みと財源の明示だ」
と、山添氏は“賃上げなき賃上げ政策”と位置づけ、骨太方針が実質的な内容を欠いていると批判した。
「減税より賃上げ」は欺瞞 消費税据え置き、大企業は減税継続
山添氏がとくに問題視したのは、政府が「減税より賃上げ」と掲げながら、消費税の減税には一切言及せず、国民負担を据え置いたまま一方で大企業への法人税減税措置を維持している点だ。
国民への減税は抑え込み、大企業には引き続き減税。賃上げの具体策もなし。これは二重のごまかしに他ならない
と山添氏は述べ、「消費税を減税すれば可処分所得は即座に上がり、賃上げの効果も生活実感に直結する。にもかかわらず、消費税減税の議論を封じること自体、国民の切実な声を無視している」と語った。
また、消費税減税を求める世論が高まる中で、あえて「減税より賃上げ」と標語化する政府の姿勢に対しても、「意図的な世論操作のにおいがする」と疑問を呈した。
医療・介護にメス 「国民に痛みを強いる方針」と警戒
山添氏は骨太方針が社会保障分野にも大きな影響を及ぼすと警鐘を鳴らした。具体的には、診療報酬や介護報酬などの「公定価格の見直し」について、現場に見合った引き上げが必要だと認めつつも、全体としては「医療費抑制」の方向が強く押し出されていると分析。
中でも、自民・公明・維新の3党が合意した11万床の病床削減計画に触れ、「単なるベッド数削減ではなく、看護師の雇用や緊急医療体制の切り捨てに直結する」と批判した。
「物価高と人手不足の中で、病院が赤字続きの状況なのに、抑制一辺倒で現場が回るはずがない」
さらに、維新の会が提案した「OTC類似薬の保険外し」も盛り込まれたことに言及。「アレルギー薬や鎮痛剤など、日常的に使用される薬が保険適用外になれば、特に高齢者や低所得者に深刻な影響を与える。暮らしの土台を直撃する政策だ」と厳しく非難した。
「社会保障を『削る対象』としか見ていないこの姿勢が問題」
「国民負担だけが増える“逆立ちした経済政策”」
と、山添氏は骨太方針に込められた政治的メッセージそのものを疑問視した。
ネットでも疑念と不満広がる 「言葉だけの成長戦略」に冷ややか
山添氏の指摘に対し、SNS上でも共感や危機感の声が広がっている。
「賃上げって言うだけなら誰でもできる。実現する道筋を示せ」
「減税を拒んで“自己努力しろ”は冷酷すぎる」
「結局、大企業優遇が変わらないなら庶民は搾取されるだけ」
「医療や薬の切り捨てが静かに進んでる。気づいた時には遅い」
「山添さんの言う通り。言葉でなく中身がほしい」
“美辞麗句の政策”という批判は、与党だけでなく、協力する立憲民主党にも向けられており、野党の政策的役割にも再考を迫る動きが出てきている。
“暮らし目線”の経済政策に立ち返れ
山添氏は記者会見を締めくくるにあたって、「経済は成長のためにあるのではなく、暮らしを支えるためにある。賃上げも減税も、実現するには政権の意思と行動が必要だ」と語った。
“骨太”とは裏腹に、あまりに細く曖昧な内容が並ぶ今回の方針に対し、具体性と実行力をもった「人間のための経済政策」がどこまで提示できるかが、今後の国会と国民の判断に委ねられている。