2025-08-10 コメント投稿する ▼
文科省、塾講師らを臨時教員派遣へ 教員不足解消と負担軽減狙うモデル事業
文科省、塾講師や元教員を臨時教員派遣へ 産休・育休欠員に対応
文部科学省は2026年度から、公立学校で教員の産休・育休や病気などによる欠員が出た場合、教員免許を持つ塾講師や元教員らを臨時教員として派遣するモデル事業を開始する方針だ。同年度の予算概算要求に関連経費を盛り込み、制度設計を進める。
派遣対象には、塾講師や退職後の元教員だけでなく、教員免許を持ちながら企業など別の職場で働く人材も含める。教員養成課程を持つ大学などが中心となり、事前に人材を登録。都道府県や政令市単位で必要な学校に派遣する仕組みとする方向だ。
「免許持ってるのに活かせてない人は多い」
「教員の長時間労働を減らすには人員補充が不可欠」
「塾講師なら教える力はあるが学校運営に馴染めるか心配」
「教員不足は採用枠や待遇改善も同時にやらないと」
「急な欠員にすぐ対応できる体制は必要だ」
採用難が背景、倍率は過去最低
公立学校の教員採用試験倍率は2000年度の13.3倍をピークに低下を続け、2024年度には過去最低の3.2倍にまで落ち込んだ。これに伴い、採用試験に不合格となった教員志望者が、非正規の臨時教員として経験を積みながら再挑戦するケースが減少。臨時教員の確保が一層難しくなっている。
産休・育休取得者が増えている中で欠員が埋まらなければ、残る教員の業務負担が急増し、長時間労働や過労リスクの高まりにつながる。このため、文科省は臨時教員派遣によって現場の負担を軽減し、教育の質を維持する狙いだ。
英国の仕組みを参考に
今回のモデル事業は、英国の「サプライティーチャー」制度を参考にしている。これは地方政府や民間企業が事前登録した人材を代理教員として学校に派遣する仕組みで、急な欠員にも柔軟に対応できるとされる。
文科省は、日本版制度の導入にあたり、モデル事業を通じて課題を洗い出す方針。派遣人材の研修方法や契約形態、給与水準、派遣期間の長短など、制度運用に不可欠な条件を詰めるとみられる。
課題は即戦力化と職場適応
一方で、臨時教員として派遣される人材が即戦力として機能できるかは課題だ。塾講師や企業勤務経験者は指導力に優れる一方で、学校特有の行事運営や学年経営、保護者対応などの業務に慣れていないケースもある。こうした業務の習熟をどう支えるかが制度定着の鍵となる。
また、派遣人材の確保には待遇改善も不可欠だとの声も強い。特に短期契約の場合、安定的な収入が見込めないことから、優秀な人材が集まりにくい懸念がある。教育現場からは「制度導入と同時に、教員全体の処遇改善や採用枠拡大にも取り組むべきだ」との指摘も出ている。
文科省は、臨時教員派遣制度を新たな人材確保策の一つとして位置付けつつ、長期的には教員志望者の増加や採用倍率回復を目指す考えだ。制度がうまく機能すれば、急な欠員が生じても授業の質を落とさず、現場教員の負担軽減につながると期待されている。