2026-02-24 コメント投稿する ▼
鳥取県が踏み出した「空白の期間」を埋める支援:犯罪被害者への独自給付制度の意義
しかし、この制度は支給が決定するまでに数ヶ月から、場合によっては1年以上かかることもあります。 この制度は2026年4月からの開始を目指しています。 具体的な給付額としては、被害者が亡くなった場合は遺族に100万円、1ヶ月以上の重傷を負った場合は最大50万円が支払われます。 特筆すべきは、被害に遭った本人の子供だけでなく、その「きょうだい」も対象に含めている点です。
犯罪被害者が直面する「経済的困窮」という現実
犯罪の被害に遭うということは、単に身体や心に傷を負うだけではありません。突然の出来事によって、それまでの平穏な生活が一瞬にして壊されてしまうことを意味します。
例えば、一家の支え手が亡くなれば、残された家族は明日からの生活費に困ることになります。また、怪我の治療費や葬儀の費用、あるいは犯人から逃れるための転居費用など、多額の出費が重なることも珍しくありません。
現在、日本には国による「犯罪被害者等給付金」という制度があります。しかし、この制度は支給が決定するまでに数ヶ月から、場合によっては1年以上かかることもあります。被害直後の「今すぐ助けてほしい」という声に応えきれていないのが現状です。
鳥取県が打ち出した独自のスピード支援
こうした課題を解決するため、鳥取県は2026年2月24日、独自の経済的支援制度を盛り込んだ条例案を県議会に提出しました。この制度は2026年4月からの開始を目指しています。
最大の特徴は、被害直後から「速やかに」支援を行う点にあります。国の給付金が届くまでの「空白の期間」を埋めるため、県が独自に一時金を支給します。
手続きについても、県職員が直接被害者らと面談を行い、寄り添いながら進める形をとります。精神的なショックを受けている被害者にとって、複雑な申請書類を一人で書くのは大きな負担です。対面でのサポートは、心理的な安心感にもつながるでしょう。
具体的な給付額と手厚いサポート内容
今回の制度では、殺人や傷害、性犯罪などの重大な被害を想定しています。具体的な給付額としては、被害者が亡くなった場合は遺族に100万円、1ヶ月以上の重傷を負った場合は最大50万円が支払われます。
さらに、生活が苦しくなった世帯には「生活維持費」として30万円、引っ越しや自宅の鍵の交換といった「防犯対策」が必要な場合には最大20万円が補助されます。
財源についても工夫が見られます。2026年度の予算案に6000万円を計上するだけでなく、その一部を使って市町村と共同で5000万円規模の基金を設立します。これにより、単発の支援で終わらせず、将来にわたって安定的に制度を運用できる仕組みを整えています。
次世代を守る:遺児や「きょうだい」への配慮
この条例案で注目すべきもう一つのポイントは、子供たちへの支援です。犯罪によって親を亡くしたり、親が重い障害を負ったりした子供に対し、年間10万円を上限に給付を行います。
特筆すべきは、被害に遭った本人の子供だけでなく、その「きょうだい」も対象に含めている点です。家族が犯罪被害に遭った際、その兄弟姉妹もまた、深い精神的ダメージを受け、学業や生活に支障をきたすことが少なくありません。
こうした「きょうだい」への支援は、これまでの公的支援では見落とされがちだった部分です。鳥取県の制度は、家族全体を包括的に支えようとする姿勢が表れています。
地方自治体が主導するセーフティネットの重要性
今回の鳥取県の取り組みは、地方自治体が国の制度の弱点を補い、独自のセーフティネットを構築する先進的な事例と言えます。
犯罪被害は、誰の身にも起こりうるものです。しかし、被害に遭った後の経済的な不安が、さらなる「二次被害」となって被害者を追い詰めることはあってはなりません。
鳥取県が示した「スピード感のある現金給付」と「きめ細やかな対象設定」は、他の自治体にとっても大きな指針となるはずです。今後、このような手厚い支援が全国に広がり、被害者が孤立せずに済む社会が実現することが期待されます。