2025-05-01 コメント投稿する ▼
岩屋毅外相、サウジとガザ停戦・経済連携で一致 二国家解決と中東安定へ連携強化
ガザ停戦と人道支援で協力強化
中東の緊張が続く中、岩屋毅外相は5月1日、サウジアラビアのリヤドでファイサル外相と会談し、ガザ地区の停戦履行と人道状況の改善について意見を交わした。両氏は、イスラエルとパレスチナの対立による犠牲者が増え続けている現状を憂慮し、特に子どもや女性を中心とした人道危機に対して、国際社会の支援が不可欠であるとの認識で一致した。
また、長期的な和平に向けては、両国が共存する「二国家解決」の枠組みが唯一の道筋であるという立場を共有。外交努力を続けるべきだとの考えを確認した。
日サウジ関係70周年 協議会を本格運用へ
両外相は、今年で外交関係樹立70年を迎える日本とサウジアラビアの関係を一層深めるため、今年2月に設置された「戦略的パートナーシップ協議会」を積極的に活用していく方針でも一致した。この協議会は、両国首脳が議長を務めるハイレベルな枠組みで、経済、安全保障、エネルギー分野など幅広いテーマを議論することが期待されている。
エネルギー面では、日本が長年にわたり原油の安定供給を受けてきたことに岩屋氏が謝意を伝えたのに対し、ファイサル外相は供給継続の意思を示しつつ、再生可能エネルギーを含む協力の拡大にも前向きな姿勢を見せた。
経済連携協定と多分野での協力拡大
会談では、湾岸協力会議(GCC)との経済連携協定(EPA)の早期妥結に向けた協力も確認された。日本にとっては、中東地域との貿易や投資の拡大につながる重要な枠組みであり、観光や文化交流、防衛・宇宙といった先端分野でも連携を深める動きが加速しそうだ。
両国は今後、実務レベルでも具体的なプロジェクトを通じて関係を強化していく考えを示した。
ウクライナ問題でも意見交換
ウクライナ情勢についても意見が交わされ、岩屋氏は、ロシアとウクライナの停戦交渉におけるサウジアラビアの仲介努力を高く評価した。サウジは昨年、米国の後押しを受けて協議の場を提供した経緯がある。両外相は、分断ではなく協調を重視する外交の必要性を共有し、グローバルな課題への対応でも緊密に連携していく方針を確認した。
岩屋外相はこの会談を終えた後、今回の歴訪の最終目的地であるフランスへと向かった。今回の中東訪問は、地域の平和と安定に向けた日本外交の存在感を示す機会となった。
* ガザ地区の停戦履行と人道支援の重要性で一致
* 「二国家解決」実現に向けた連携強化を確認
* 戦略的パートナーシップ協議会を通じ、70周年の節目に協力体制を本格化
* GCCとのEPAやエネルギー・宇宙・文化分野での関係拡大を図る
* サウジのウクライナ仲介への貢献を評価し、国際協調を確認