2026-04-02 コメント投稿する ▼
岩屋毅元防衛相、国旗損壊罪創設に慎重論 国民の意識定着と憲法上の課題を指摘
自民党内で、国旗を故意に損壊した場合に罰する「国旗損壊罪」の創設に向けた議論が本格化しています。 さらに、岩屋氏は、しばしば比較対象として挙げられる「外国国章損壊罪」との法的な違いを明確にしました。 そして、岩屋氏は、現時点で「国旗損壊罪」を敢えて設ける必然性や緊急性があるのかを問いかけています。
議論の背景と岩屋氏のスタンス
国旗に対する国民の敬意や象徴としての位置づけを法的に担保すべきとの声は、かねてより一部で上がっていました。今回、自民党内に設置されたプロジェクトチーム(PT)で議論が開始されたことを受け、岩屋氏は、この問題について自身の考えを整理し、発信した形です。岩屋氏は、まず「一貫してこの課題には消極的」であると明言しています。その最大の理由として、国旗が損壊されるような事案が「至る所で発生している」という「立法事実」の欠如を挙げています。
「立法事実」の欠如と政治的アピールへの懸念
岩屋氏が指摘するように、現時点で国旗の損壊が社会問題となるほど頻繁に起きているという客観的な証拠は乏しいのが実情です。このような状況下で新たな法律を制定することは、実態にそぐわず、国民の国旗への敬意を政治的にアピールするための手段となりかねない、との懸念を示しました。法整備を進めるのであれば、まずはそのような事態が実際にどれほど起きているのか、具体的なデータに基づいた議論が必要であるという立場です。
外国国章損壊罪との比較と法的なカバー
さらに、岩屋氏は、しばしば比較対象として挙げられる「外国国章損壊罪」との法的な違いを明確にしました。外国国章損壊罪の主な目的は、日本と諸外国との円滑な関係を維持することにあり、相手国の意向を考慮する必要性から「親告罪」(被害者などの告訴がなければ起訴できない罪)となっています。これに対し、国旗の損壊については、既に刑法261条の「器物損壊罪」で罰することが可能であり、法的なカバーは既に存在すると指摘します。器物損壊罪は親告罪ではなく、事実認定があれば自動的に起訴される可能性があるため、単純な比較はできないという見解です。
憲法上の自由との抵触リスク
岩屋氏が最も強く懸念しているのは、憲法が保障する「内心の自由」や「表現の自由」との整合性です。国旗に対する行為は、個人の思想信条や、政治的なメッセージ発信と結びつく可能性があります。もし国旗損壊罪を創設した場合、個人の思想や表現活動を不当に萎縮させる恐れがある、というのが岩屋氏の主張です。過去には、アメリカ合衆国最高裁判所も、同様の理由で州法による国旗損壊罪を違憲無効とした判例があることに言及し、憲法上の権利を侵害しない慎重な法整備の必要性を訴えています。
立法を行う場合の限定的な構成
仮に、国民の強い要望などにより、何らかの形で国旗損壊に関する法整備を検討するとしても、その対象は極めて限定的でなければならないと岩屋氏は述べます。具体的には、「公的機関が所有し、公的な場で掲揚されている国旗」に限定し、「公衆の面前での損壊行為」のみを処罰対象とするような、形式犯としての構成に留まるべきだとの考えを示しました。さらに、その場合であっても、行為の動機については問わないといった、極めて慎重な設計が必要になるとの見解です。
立法への必要性への疑問と熟議の重要性
そして、岩屋氏は、現時点で「国旗損壊罪」を敢えて設ける必然性や緊急性があるのかを問いかけています。「国旗国歌法」が制定されて以降、国民の間で国旗への敬意は広く定着してきていると受け止めており、社会全体として、新たな罪を設けるほどの状況ではないとの認識を示しました。以上の理由から、岩屋氏は「国旗損壊罪」の議論については、性急な判断を避け、熟議を重ねることが不可欠だと強調しました。自民党として、国民の多様な意見を踏まえ、憲法との整合性や社会の実態に即した、良識ある結論を導き出す必要があるとしています。今後も、党内の議論に積極的に関与していく姿勢を示しました。