2025-09-01 コメント投稿する ▼
岩屋外相、GCCと原油供給安定を協議 価格乱高下に解決策を示せるか注目
岩屋外相、GCC諸国と原油供給で連携確認
岩屋毅外相は1日、クウェート市で開かれた湾岸協力会議(GCC)加盟国との外相会合に出席し、原油を含むエネルギーの安定供給で連携を確認した。日本が輸入する原油の約95%はGCC諸国から供給されており、エネルギー安全保障上の極めて重要な関係にある。
岩屋氏は会合で「GCC各国は日本にとって不可欠のパートナーだ」と強調。これまでの安定的な供給に謝意を伝えた上で、日本側としてクリーンエネルギー分野でも積極的に協力していく姿勢を示した。
中東情勢の安定に向けた協力
会合では、イラン核問題やパレスチナ自治区ガザをめぐる戦闘など、中東地域の緊張が増す中での安定確保について意見が交わされた。イスラエルとイスラム組織ハマスとの衝突は域内情勢を不安定化させており、エネルギー供給の安全にも直結するため、日本とGCC双方が協力を強化することで一致した。
日本外務省によると、GCC側からは「日本が主導する東アジア協力促進会合がパレスチナ支援の場として重要だ」との評価が寄せられた。外交面でも日本の役割が注目されており、エネルギーのみならず地域安定への関与が期待されている。
「原油の安定供給は国民生活に直結する問題」
「クリーンエネルギーでの協力も進めてほしい」
「日本が中東外交で信頼されているのは心強い」
「供給の95%を依存している現実はやはり不安」
「多角化戦略も同時に進めるべきでは」
原油依存度95%のリスクと課題
日本のエネルギー供給はGCCに大きく依存している。約95%という数字は安定性の裏返しであり、同時にリスク要因ともなる。政情不安や紛争が激化した場合、原油供給網が途絶すれば日本経済に深刻な打撃を与える恐れがある。
さらに現在の国際的な原油価格は安定しているとは言い難く、世界的な需給の変動や地政学リスクによって大きく上下している。家庭や企業の負担は増大し、エネルギーコストは経済成長の制約要因になりつつある。岩屋外相には、単なる外交的な連携確認にとどまらず、価格の安定化につながる具体的な成果を出すことが求められている。
また、国際的な脱炭素化の潮流の中で、原油に依存するエネルギー構造そのものをどう転換するかも大きな課題だ。クリーンエネルギー分野での協力は、長期的な安全保障の一環として不可欠となる。
日本外交の役割と今後の展望
今回の会合は、日本が中東外交で「安定供給の受益国」という立場にとどまらず、地域安定の担い手として存在感を高める契機となった。とりわけパレスチナ支援に関する取り組みは、GCC側からも評価され、政治的信頼を深めるきっかけとなった。
ただし、依然として日本のエネルギー供給構造は脆弱性を抱えている。今後は中東との関係強化に加え、エネルギー調達先の多角化や国内再生可能エネルギーの拡充が求められる。石破茂首相の政権下でエネルギー安全保障をどう具体化するか、政府の手腕が問われる局面にある。
中東安定と日本のエネルギー外交の行方
GCCとの会合で確認された「供給の安定」と「地域の安定化」は、日本のエネルギー安全保障を左右する要素である。三菱商事の洋上風力撤退など国内再エネ事業に不透明感が漂う中、日本は海外パートナーとの関係強化に注力せざるを得ない。
中東の安定が崩れれば、95%の依存度を抱える日本経済は直撃を受ける。外交努力とエネルギー政策の両輪で、持続可能なエネルギー体制を築けるかどうかが今後の最大の課題となる。岩屋外相には、原油価格の乱高下という現実に正面から向き合い、その解決に資する成果を残すことが期待されている。