2025-09-10 コメント投稿する ▼
横浜市・山中竹春市長「街頭演説妨害は断じて許されない」 ルール改正求め国政にも波及か
さらに、演説会場に集まった聴衆と抗議活動を行う人々との間でトラブルが発生しかけた事例にも触れ、選挙活動の自由と市民の安全を両立させるための制度改正が急務であると強調した。 大声での抗議やプラカード掲示は表現の自由として保護される面がある一方、特定の候補者の演説を物理的に妨害する行為は「選挙の自由妨害罪」として処罰対象となり得る。
横浜市・山中竹春市長、街頭演説抗議活動の「ルール改正」を要請
横浜市の山中竹春市長は10日の定例記者会見で、街頭演説に対抗する形で行われる大声での妨害や誹謗中傷を目的とした文書掲示などについて「あってはならない」と強く非難した。そのうえで、「市民の安全性が保たれない環境で選挙活動を続けていくのは難しい。ルールの改正が必要だ」と述べ、公職選挙法など選挙活動を規律する制度の見直しを求めた。
山中氏は今年8月3日の横浜市長選で再選を果たしたが、選挙期間中の街頭演説での経験を振り返り、「大声を出して、それだけならまだしも、誹謗を目的とした文書を掲示する行為があった。こうしたことは断じて許されない」と指摘した。さらに、演説会場に集まった聴衆と抗議活動を行う人々との間でトラブルが発生しかけた事例にも触れ、選挙活動の自由と市民の安全を両立させるための制度改正が急務であると強調した。
「演説を聞きたい人が安心して参加できないのは民主主義の否定だ」
「抗議する自由はあるが、他者の自由を奪う形でやるのは違う」
選挙活動と表現の自由の衝突
日本の公職選挙法は選挙運動に関する行為を細かく規定しているが、街頭演説に対する抗議や妨害をどこまで規制できるかは微妙な問題を含む。大声での抗議やプラカード掲示は表現の自由として保護される面がある一方、特定の候補者の演説を物理的に妨害する行為は「選挙の自由妨害罪」として処罰対象となり得る。
しかし、現実には「抗議」と「妨害」の境界が曖昧で、警察も現場対応に苦慮している。山中市長の発言は、こうしたグレーゾーンを解消し、より明確なルールを設ける必要性を浮き彫りにしたものといえる。
「抗議と妨害の境界が不明確だからトラブルになる」
「ルールを明確化することが市民の安心につながる」
市民の安全と民主主義の両立課題
街頭演説は候補者が有権者に直接訴える重要な機会であり、民主主義の根幹に位置づけられる。しかし、その場で大声や誹謗文書による抗議が行われれば、候補者の発言はかき消され、聴衆も安全に演説を聞くことができなくなる。市民同士の衝突を誘発する可能性もあり、民主的な選挙の健全性を損なう。
一方で、表現の自由は民主主義社会における基本権であるため、抗議活動そのものを全面的に禁止することは難しい。問題は、他者の自由や安全を侵害しない範囲で表現活動をどう保障するかにある。ルール改正には、この両立を可能にする制度設計が求められる。
「声を上げる自由は守るべきだが、人の声を消す権利は誰にもない」
「安全が守られない選挙活動は民主主義の劣化を意味する」
公職選挙法改正論議の行方
山中市長の発言は、地方自治体の首長としては異例の「法改正」要請であり、国政に波及する可能性もある。実際、過去にも街頭演説でのヤジをめぐり、警察対応や司法判断が議論を呼んだ事例がある。こうした積み重ねを背景に、公職選挙法の改正や新たなガイドラインの制定を求める声は強まっている。
今後の焦点は、
①表現の自由を保障しつつ妨害をどう規制するか
②市民の安全確保をどのように担保するか
③候補者・聴衆・抗議者の間で公平性をどう確保するか
の三点に集約される。横浜市の事例は全国の選挙現場でも共有されるべき課題であり、国会における制度議論が一層求められる。